・メモ
50年前にウッドストックで開催されたロックフェスティバルの主催者の一人が当時の思い出を綴る。随所に関係者のインタビューやフォトが挿入され読み応えのある作品に仕上がっている。
ウッドストックというと、米国で開かれた野外コンサートというイメージしかないが、米国人がウッドストックを語る時、そこにはかなりの思い入れがあるようだ。それはベルリンの壁崩壊にせよ、オバマ政権誕生にせよ、それをウッドストックという言葉になぞらえて語られることが多いことからもうかがえる。日本では「愛と平和の祭典」といったサブタイトルで紹介されることが多いが、まさにこれこそがウッドストックをウッドストックにしている所以だと思う。
このウッドストックという祭典、直前の会場変更やフリーコンサートへの変更等信じられないほどの困難にさらされながら開催されたことが分かる。なにしろ数十万規模の野外コンサートなど存在しなかった時代に開催されたのだから主催者側の苦労は大変だったと思う。
開催場所の設営、電気、水道、排水路、電話設備の確保、警備、医療施設、出店、スタッフ・観客の食事、宿泊、トイレの確保、出演者のブッキング、駐車場の整備等に加え、この祭典を政治的に利用しようと企むもの、金儲けの手段にしようと擦り寄ってくるもの、とにかく反対しようとする者など、こんな状況でよくあのコンサートが開催できたものだと思う。
このコンサートが曲がりなりにも成功裏のうちに終わったのは多分に主催者の中心人物、マイケル ラング氏が底抜けに楽天的で人を惹きつける魅力に溢れていた人物だったことだな。大きなプロジェクトを成功させるためにやはり人間力は重要なファクタだ。
[ウッドストックへの道 40年の時空を超えて主催者が明かすリアル・ストーリ/¥3,080]
[マイケル・ラング、ホリー・ジョージウォーレン著、室矢憲治訳/小学館(2012/8/15)]
[413p/978-4-09-388252-1]
[マイケル・ラング、アーティ・コーンフェルト、ジョン・ロバーツ、ジョエル・ローゼンマン、エポックメーキング、妨害、軋轢、政治、行政、反対、やり遂げる力、ウォールキル町、サリバンカウンティ、ヤスガー農場]
[単行本l][初店][001]