・メモ

不思議な構成の物語だ。作品の冒頭と最後で筆者が訪れたフィレンツェで見つけた写真に写っていた友人のことが語られ、中間部ではその友人との直接・間接のやりとりと、密林の流浪の民の中で語り部となった友人が語る流浪の民の間に伝わる神話的な物語が語られる。

 

ポイントは神話的な物語ではなく、なぜ友人が職を捨て流浪の民族の中でも極めて特殊な語り部を職業として選び、白人(ユダヤ人)であるにもかかわらずごく自然に受け入れられているというところだな。作者は友人の顔のほぼ半分に広がる赤い痣を原因としたいようだが、私にとっては今ひとつ納得感が得られなかった。これは再読するしかないな。

 

正剛くんはこう言ってる。

 

[密林の語り部/2,079円]

[M.バルガス リョサ/新潮社(1994/2/20)]

[275p/4-10-514505-3

[痣、ユダヤ人、語り部、伝道師と言語学者、1707夜]

[新潮・現代世界の文学][初図][0051]