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名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)
1,058円
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・メモ
中野京子氏の名画で紐解くヨーロッパの名門一家シリーズ、今回はフランス(+スペイン)のロマノフ家だ。長く続いたヨーロッパの王家といった印象を持っていたが実態は異なる。そもそも起源はドイツ系だし、長く続いた王朝の中で異彩を放つ二人の女帝は、エカテリーナ一世はリヴォニア出身だし、エカテリーナ二世に至っては再びドイツ人だ。が、この二人とてやっていたことはロシア王朝そのものだ。
いくつかの書物から、ロシアはヨーロッパと見做されていないという記述を見た記憶がある。どのような理由によることは今まで理解できないでいたが、本書の中にその解を見いだすことができた。一つには社会そして文化の後進性だろうか。今でこそロシア文学、ロシアバレー、ロシア音楽には目覚ましいものがあるが、これらが一気に開花したのは19世紀になってからのことでありそれ以前はヨーロッパの芸術・絵画を買い漁るしかなかった。
また社会の基盤も農奴や屯田兵が過酷な労働を提供することによる労働集約的なものであり富は貴族、王族に集中することになる状態が長く続き工業化もかなり遅れた。そしてロシアの上流階級に特徴的だったのは暴飲暴食、深酒による私生活の荒廃化と親子、兄弟姉妹、夫婦間での騙し合い裏切り、幽閉・殺戮などの強引な手法だ。こんなことを何百年にわたって繰り返していては他のヨーロッパの王家から2流、3流扱いされたことも少し納得できる感じだ。しかし他の国の王家と同じようにその終焉は悲しいものだな。
[名画で読み解くロマノフ家12の物語/¥1,058]
[中野京子/光文社(2014/7/20)]
[229p/978-4-334-03811-3]
[ドイツ起源、サンクトペテルスブルク、農奴、屯田兵、イワン雷帝、ピョートル大帝、エカテリーナ一世=リヴォニア人、エカテリーナ二世=ドイツ人、エロージヴィ、コサック、ステンカ・ラージン、アレクサンドル一世→ニコライ一世→アレクサンドル二世、ニコライ二世、ラスプーチン、暴飲暴食、深酒、政敵の末路→シベリア送り、拷問、処刑]
[光文社新書707][初王][0011]