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ナチュラル・ウーマン (河出文庫)
670円
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・メモ
ナチュラル・ウーマンというと私にとってはキャロル・キングの力強い歌声が素敵な楽曲がすぐに想起される。本書はそのキャロル・キングというか実際はアレサ・フランクリンの楽曲からタイトルを取った作品他、短編が3編収められている。
2 いちばん長い午後
3 微熱休暇
1 ナチュラル・ウーマン
ただ、時系列でいうと上に記した番号順になる。筆者がなぜ順番を入れ替えているのかは不明だが、こここの短編は時系列を意識しなくても読めると主張したいのかもしれない。
で、これらの作品群だが、どれもほぼ一貫していて、受け身の主人公と、強気のパートナーという構成になっている。パートナーは主人公(容子)に対してかなり乱暴にその肉体(とりわけ肛門)をもてあそぶようにいたぶる。一見支配者と奴隷のように思えるが、実態は受け身に回っている主人公の心を読み取れないパートナーが次第に追い込まれて実際は隷属していくように構成される。
この展開に気がついたのはナチュラル・ウーマンでパートナーの花世が容子をいたぶりながら泣き出すところだったが、実際に人間関係としては主従が逆転していることは「いちばん長い午後」の中でパートナー(夕記子)の口から語られる。いたぶられながら容子は自意識を高めていき、パートナーたちは苛立ち疲弊していく。このあたりの関係は濃密な性描写に目を奪われていると見落としてしまうので注意が必要だ。
筆者は一見ドロドロした世界を乾いた感覚、一種爽快感のある文章でまとめていく。筆者はパートナーとしての男性は必要としていないようで、それがこれらの短編のベースになっているような気がする。ただ、筆者は作品中のパートナー達より遥かに冷めているし強いように思う。
誠剛君はこう言ってる。
[ナチュラル・ウーマン/¥670]
[松浦理英子/河出書房新社(2009/9/10)]
[227p/978-4-309-40847-7]
[性交、肛門、愛撫、仮の立場、劇画、花世、由梨子、夕記子、容子、千1062]
[河出文庫 ま-1-1][初図][0037]