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チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫)
1,836円
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名前はみんな知っているが、読んだ人はそれほど多くない小説の典型である本書を悪戦苦闘しながら読了した。この本、日本ではわいせつ裁判となったことで名が知れており、そう言った展開を期待して読む人もいるだろう。しかし読むに従ってその期待は裏切られることがわかる。
本書の中で性愛に関する描写はかなり本質的な部分として頻繁に出てくる。しかし描写のレベルは控えめであり本書をポルノ小説として捉えることは不可能だ。むしろ社会全体が階級に縛られていたイギリス社会の縮図が描写の中心と言えるだろう。
本書の中で展開するのは女性の精神的な自立に「向けての」物語だと言える。戦争で負傷し下半身不随となった夫を持つコリーが、自分の所属する階級から一歩も出ようとしない夫に不満を募らせ、屋敷の森番であるメラーズと出会い、結ばれ、その経過の中で自分らしく生きることの大切さに気づき夫との別れとメラーズとの結婚に踏み出していくプロセスを克明に追ったのが本書だと言える。「向けての」と表現したのはそれが結実したかどうかは本書の後の話だからだ。
誠剛君はこう言ってる。
[チャタレー夫人の恋人/¥1,836]
[D.H.ロレンス著、木村政則訳/光文社(2014/9/20)]
[674p/978-4-334-75297-2]
[コニーとメラーズ、ベニス行き、愛と性、階級、自由、大衆消費社会、ミケイリス、クリフォード、強制されたプラトニックな関係、ボルトン夫人、事実上の別離、ヒルダ、千0855][K A ロ7-1][図初][015]