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・メモ

実に不思議な小説だ。筋というものはあるのだが、章節構成は変わっていて、各節は主な登場人物が記述され、彼らに関する(架空の?)文書からの引用、対話、モノローグなどから構成されている。この構成が繰り返されることで不思議と全体の流れが見えてくる。こういった構成の小説は読んだ記憶がない。

 

主たる登場人物は以下の四人

・キンダ・カヤーリ(子供を望むインテリ女性)

・ナディーム・カナワーティ(キンダの夫、政府からは危険視されている、大学教授、子供を望んでいない)

・ウィサーム・ヌーラディーン(夫との単調で屈辱的な性生活に苦痛を感じる女性)

・ハッサン・アジルクリー(性的な芳香に異常に敏感な臭覚を持つ若者)

物語はこの4人およびその周辺の人たちとの間での情交(レズビアンを含む)を通して彼らが徐々に自立心に目覚め、カナワーティ夫妻の運営する自由な雰囲気のサークルに参加するまでを描いている。

 

この物語の本質はイスラム社会における自立だと思うが、この物語で垣間見られるイスラム社会における性のあけすけさに驚かされた。厳格なイスラム社会では男女の営みも厳格なルールに縛られていると考えていたが、よく考えてみると千夜一夜物語も割と性のことを扱っているので不思議ではないのかもしれない。

 

誠剛君はこう言ってる。

 

[月/¥1,851]

[アマール・アブダルハミード著、日向るみ子訳/アーティストハウス(2002/2/28)]

[184p/4-04-898077-7]

[キンダ・カヤーリ、ナディーム・カナワーティ、ウィサーム・ヌーラディーン、ハッサン・アジルクリー、サルワ、ファーテル、バトゥール、ラーオア、ターニャ、メンス、良心の自由、精液、レズビアン、父娘姦、ホモセクシュアル、レズビアン、不倫、千0862][単行本][図初][014]