・メモ

野坂昭如の評価は難しい。エロ事師たち」の軽妙さ、「戦争童話集」の儚いまでの悲しさ、そしてテレビで見せたタレントとしての顔だ。題名からするとなにか問題提起をしてそうな感じだな。いわゆる文化人というと左がかった人が多いように思う。端的に言えば過度の戦争に対する自己反省と政府に代表されるお上に対する反発だ。

 

で、読んでみた。戦争に対する違和感と現代に対する不満はあるものの、左がかった思想は見られずちょっと安心した。まぁ言わば野坂昭如の半生記という感じだな。意外と言っては失礼だが、様々な話題に対しきちんと調査をした上で意見を述べているところは評価したいね。実は戦争童話集はラジオの朗読の時間に流れていたものしか経験がない。気持ちを新たに読んでみることにしよう。

 

[この国のなくしたもの/¥1,645]

[野坂昭如/PHP研究所 (1997/08/21)]

[308p/4-569-55722-8]

[戦争で農業と文化を失った日本の行く末、平和に対する不信感、死の不在、リーダー不足、アメリカに従属、信長好き、過剰な反省は無し、苛立ちと不満、千0877]

[単行本][初図][006]