千夜千冊千枚通(146):第197夜:魔女の1ダース

辛口の評論家として名をはせた米原万理氏、久々に
再読するに当たり、どんなことが書いてあったけ?
と半ばわくわくして読み始めたものの、その期待は
大きく裏切られた感じだな。本書を通して一環して

いるのは反米反日、親ロシア親朝鮮の姿勢であるこ

とが判る。これだけだと左派系の文筆家の典型なん

だけど、氏は少女時代にチェコスロバキアのロシア

語学校で育ったことを売りにして、日本の国内では

判らないグローバルな視点を持った評論家としての

地位を確立したんだと思う。

本書で、米国を中心とした西欧諸国が過去いかに酷

いことをしたかを書き連ねているが、酷いこと残虐

なことというなら旧ソ連、中国だってかなりのもの

だと思うがそこにはあまり触れられていない。先入

観・偏見を捨ててものを見ろという割には、日本に

対する偏見は相当なものだ。いじめや偏差値地獄で

受験ロボット、会社ロボットを生産し続けている日

本の教育が心配だというが、そんなに捨てたもんで

もないと思うけどね。

日本を外から見て、それを差別化要素にするという

姿勢は左派右派共通にみられる典型的な手段の一つだ。

例えば週刊新潮?に長い間連載を持っていたヤン・

デンマン特派員は実在しないらしいし、右派的主張

をイザヤ・ベンダサンという偽ユダヤ人として語った

山本七平氏もその類だな。今回は辛口エッセイを期待

して残念なことになった。

ちっ。
 

[魔女の1ダース/\514]

[米原万理/新潮社(2000/1/1)]

[294p/4-10-146522-3]

[先入観、偏見を捨てろ、マスコミ批判、オウム真理教、いじめ、偏差値、受験ロボット、会社ロボット、朝鮮→分断国家にした罪悪感・語学学校の学友、親ロシア、反米反日、辛口の評論家、自分の頭の高さより高く飛べないやつ、ヤン・デンマン、イザヤ・ベンダサン、千197/1642]

[新潮文庫よ-19-2 6400][再図][019]