トランプ大統領当選という大きな出来事に

私は衝撃を受けた。なぜアメリカ国民がこう

いった選択をするか理解ができなかった。が、

TIMEなどで記事を読んでいくうちに、段々

ことの次第が理解できてきた。この選挙では

権力階級代表としてクリントン候補を位置づけ

それに対する反感勢力を結集したということ

らしい。それにしてもその反感勢力ってそんな

に強大なものなんだろうか。

 

とつらつらと考えていた時にたまたま千夜千

冊で見つけたのが本著作だ。アメリカは祖国

を捨てた人々が作った国だ。そのためヨーロッ

パにあるような階級のようなものが一旦クリア

され、新たに社会構造が造り直された。その

なかでいわゆるパトロン層が希薄になった

インテリ層=知性層の優勢は失われていく。

 

インテリ層=知性層は多くの敵対勢力の元

で力を削がれていく。一つにはキリスト教、

幾つかの会派の伝道師達は、知識を否定し

民衆を煽っていく。一つには当時の米国

の労働力の中心だった農民層、アカデミッ

クな世界の価値を認めず、教育にも関心が

極めて低い。一つには中等教育層、大学層

からの要求に応える気が無く、反感を募ら

せる。一つには政治家、知性よりも男らし

さが求められていた。一つには実業界、

知識よりも叩き上げの実力で勝負する。

 

こうした流れを見ていくと、今の米国の

イメージ、ノーベル賞の受賞者を多数輩

出し多くの領域で優れた成果を出している

アカデミック大国という捉え方は、それほ

ど歴史のあるものではないことがわかる。

 

知識層、エリート層の陰に隠れていた多数

の大衆層の潜在的な反感を上手く操作した

のがトランプ陣営なのだということが理解

できてくる。それにしてもこうした歴史が

今までほとんど伝えられていないことに

大いに驚いた。

 

誠剛くんはこう言ってる。

 

[アメリカの反知性主義/¥5,616]

[リチャード・ホーフスタッター/みすず書房(2003/11/29)]

[438p/4-622-07066-9]

[余剰の大切さ、福音主義+熱狂主義→反知性主義、デューイ、スプートニク・ショー、伝道者、セオドア・ローズヴェルト、中等教育側の問題、教師の質、宗教家+実業家+農民、高等教育不要論、叩き上げ、クレリシー・アバンギャルド、千1638]

[単行本][初図][018]