・メモ
この作品は考えてみると30年ぶりの再読となった。
ぼんやりと軽快な訳文を覚えている。今回読んでみると、
この訳文にかなり無理して作った形跡が見られたことが
面白かった。何度か「おっぺしょる」って言葉が出て
来るんだけど、普通こんな言い方しないよな。この言
葉を使っていたのは巨人の星の左門豊作くらいだな。
さて本作、高校を退学となった、大人でも子供でもない
ホールディンの家に戻るまでの数日間を描いたものだ。
発言・行動の数々は周りへの敵意や反感に満ちているが、
内容自体は幼さを感じさせるところが微笑ましいし、
自分の経験と照らし合わせて懐かしいとも言える。
こういう時期ってあるんだよね。自分の周りのあらゆる
こと、人物に対して無性に腹がたったりね。
話としては一旦家に戻ったホールディンが、家出を
口にしたことに対し、妹のフィービーが一緒に行くと
言い出し、そのことに対する二人の言い争いの末、
ホールディンが自分を見つめ直すことができてワン
レベル成長したという感じで終わる。この二人のや
り取りの際の幼いフィービーがなんとも可愛い。
この一連のホールディンの行動時期が、クリスマスに
設定されているというのも意味あることなんだろうな。
僕はここでホールディンの精神的な死と再生という
プロセスを想起させられた。蛇足ながら、この
ホールディンという人物、昔観た映画「フェリスは
ある朝突然に」の準主役の背の高い男とイメージが
重なる。もう一度観てみたくなった。
誠剛くんはこう言ってる。
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[J.D.Salinger(著),野崎孝(訳)/白水社 (1984/5/20)]
[339p/4-560-07051-2]
[ホールデン・コールフィールド、饒舌、おっぺしょる、プロトコル嫌い、サリー、スペンサー先生、未熟、反逆児、アリー、D・B、フィービー、ペンシー高校、アントリーニ先生、若者言葉?、大人になった?、苛立ち、クリスマス、プライド→コントロール不能、オマンコシヨウ、敵意、セックス、意味のない会話、465/1639夜]
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