武満徹著作集〈1〉/武満 徹
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[音、沈黙と測りあえるほどに/¥3,780]

[武満徹著/ 新潮社 (1991/8/5)]

[241p/4-10-312901-8]

[音楽は数学的なもの、音楽を法則から解き放ちたい、不確定性、今日音楽は可能か、できる限り音をコントロールしないで音を自由にしておきたい、西洋と東洋あるいは日本、チャンス・オペレーション、吃音者、恥、沈黙、数学的、ソクラテス、流転、映画製作会社、政治的、三池の闘争、日本共産党、どもりは革命の歌、ジャズ賛美→観念としてのジャズ、フィードバック、パースペクティブ、コレスポンデンス、アノニム、モデュール、アモルフィ、ヘテロフォニー、トリステ、ソフィステケイト、モデリティ、バーチュオーシティ、千1033]

[単行本][再図][049]

武満徹に関する知識はほとんど持っていない。
邦楽器を取り入れたノヴェンバー・ステップスという
楽曲の作曲家であることぐらいかな。
昔ジャズのライブアンダーザスカイというイベントの
開会宣言を間近で見たことがある。しかしそこで語られた
言葉はあまりにも凡庸で失望した記憶がある。

そしてこの著作、再読だが初読の記憶は全くない。
大江健三郎、谷川俊太郎と言った人たちとの交流が
語られるなど期待して読んでみたが、うーん。

一言で言うと左派系の芸術家にありがちなエッセイだな。
共産主義、社会主義への親近感、国家、組織、企業といったものへの
嫌悪感、音楽を続けることへの罪悪感、こういったことに溢れた
文だな。
貴方には音楽しかないのだから誰に遠慮する事なく続ければいいじゃん、
と私なんかはおもうんだが。

それと気になったの横文字の多用かな。
ご丁寧にカタカナで書かれたもの、アルファベットとカタカナの併記、
そしてアルファベットでのみ書かれたものの3種類が度々現れる。
武満氏、多分語学は苦手で、言葉の意味を正確には理解せずに
イメージだけで捉えているような感じがする。本分中で言葉に
ついてかなり拘っている文章を書いているんだから、もう少し
ちゃんとしてほしかったな。大物となってしまった人の余技w
にはだれも口を挟めなかったんだろうか。

ジャズに関する記述もあるが、ジャズ賛歌といった感じでジャズを
イデオロギーとして捉えた余り意味のない文章になっている。

文筆家としては評価できないが、作曲家としては興味があるので
ノヴェンバーステップスを早速聞いてみるかな。