黒い花びら/村松 友視
¥1,620
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[黒い花びら/¥1620]

[村松友視/河出書房新社(2001/3/2)]

[202p/4-309-01394-5]

[酒、借金、病、勝新、裕次郎、歌、ジャズ喫茶、無頼、キャバレー廻り、レコード大賞、散財、千1111]

[単行本 ][初図][115]

水原弘っていうと、歌手というよりは、田舎なんかに
行った時商店の壁にニッと笑いながらキンチョウの
殺虫剤を手にしている印象がある。そして横には
太ももをあらわにした由美かおるの姿があったような。
今確認してみたらキンチョウではなくアース製薬だった。
テレビコマーシャルでも自らを「オミズです」と言っていた
声を覚えているくらいかな。亡くなったという話をニュースで
目にした記憶がかすかにある。

基本的には、水原弘は歌が抜群にうまかったが、
金と女と酒にだらしなく、結婚後女については
愛妻家となったが、金と酒にだらしないところは
治らず、結局酒のせいで体を壊したものの
借金返済のために全国のキャバレーを連日営業
する労働の日々が体を蝕みなくなったという話だ。

本書では、村松氏が、自分の持っている無頼作家に
なぞらえて、水原弘を無頼漢の歌手として捉え直して
いる感じが強い。しかし本書を読んでみると、水原を
無頼漢と捉える村松氏の記述、ある事実をもとに
ある種妄想とも思える発想で、無頼漢像を固めて
いっている感じが強い。

なので本書は、水原弘という歌手の生涯をつづった
ノンフィクションというよりは、村松氏の無頼漢歌手を
イメージした小説だな。
ダシに使われた水原弘がちょっとかわいそうな気がする。

誠剛君は
こう言ってる。