- イスラム国 テロリストが国家をつくる時/ロレッタ ナポリオーニ
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[イスラム国/¥1,458]
[ロレッタ・ナポリオー二、村井章子訳/文藝春秋 (2015/1/10)]
[189p/ 978-4-16-390211-1]
[サラフィー主義、政治、背教者、代理戦争、シーア派VSスンニ派、ザルカウィ、バクダディ、タリバン・アルカイダとの違い、カリフ制、国家、飴と鞭、インフラ、油田、発電所、千1578]
[単行本][図初][089]
これは衝撃的な本だ。
我々日本人はイスラム国と聞くと、
タリバンやアルカイダのようなイスラム過激派
だと考える。しかし実態は大きく異なるようだ。
通常のイスラム過激派がアメリカを敵と定め、
局地戦で勝利を得ようと日々考えているのに対し、
イスラム国は、イスラム教シーア派を現実の敵と
考え、カリフ制国家樹立を目指している。
イスラム国の巧みなのは、すでに国家の基盤と
なるべきインフラを確保している点
だな。
事実イラクの精油施設と発電所はイスラム国の
支配下にある。そして、他の過激派のように
最新技術を拒否することもない。プロパガンダに、
リクルートに、イスラム国がITを利用していることは
周知の事実だ。
筆者によれば、外国人や敵に対する残虐性も
単に戦術的だという。ふーん、そんなものか。
現在のイスラム国を率いるバグダディ氏が
現在のカリフということになるな。我々から見ると
テロリストの側面しか見えてこないイスラム国だが、
支配した地域では、食料などを住民に与え、
彼らをイスラム国の重要な部分として取り込んで
いるらしい。
また、イスラム国の建国の場所も、シリアと
イラクという、様々な集団の思惑が交錯する
政治的にも軍事的にも難しい場所であり、
そこをイスラム国がうまくついたということだな。
本書を読んでいると、イスラム国が国際社会の
一員として認知せざるをえない時代が近々に
現実となるように感じられてしまう。
うーん。