- 記憶のちぎれ雲 我が半自伝/本の雑誌社
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[記憶のちぎれ雲/¥2,800]
[草森 紳一(著)/本の雑誌社 (2011/06/23)]
[448p/978-4860112189]
[真鍋博、伊丹十三、田中小実昌、古山高麗雄、中原淳一・葦原邦子]
[単行本][初図][127]
草森氏の半生を語る作品。
各章には、草森氏が人生の途中で出会い
既に
故人となっている人たちの名前がある。
その人達との思い出を語るとともに、
そこから大きく逸脱して、自分が考えたこと
などを綴っている。
真鍋博って昔はよく聞いた名前だな。
未来学者としての
顔は知らなかった。容貌が福岡伸一氏にく似ている。
田中小実昌氏は、注目の人だ。いくつかエッセイを
読んでみたいと最近思っている。
古山高麗雄氏は全く知らない。
中原淳一・葦原邦子夫妻。夫は知らないが妻の方は
テレビでよく見かけた名前だ。この夫婦の葛藤が実に
興味深い。神経質すぎる夫とおおらかすぎる妻、
性質が違いすぎるとかなり家庭にひずみを生じるんだな。
そして伊丹十三。偉大な父と、これまた偉大すぎる
義父/義母、勝ち気で生意気な妻に囲まれた下手
だけど文才に恵まれた男の生き様はかなり興味深い。
だけど、何より面白いのは草森氏のペンだな。
故人をあれこれ分析したり、詮索したりするけど、
これはほとんど草森氏の直感で、はっきり言って
巨大な妄想とも言える。
が、その妄想のふくらませっぷりがなかなか痛快だ。
取り直しになったOL向けの宣伝写真の
モデルに抜擢された加賀まりこの登場が本書の
最後になるが、これがなかなか痛快だ。
今でも魅力的な彼女の20才ってどんなだっただろう。
考えるだけでも楽しい。