うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫 Aウ 5-1)/光文社
¥960
Amazon.co.jp

「日々の泡」と言う名前の訳書で1回読んだ。
今回は『うたかたの日々』と言う名前の
訳書で再度読んでみた。

この小説は悲しいなぁ。前半のきらびやかで
ポップな展開に比べると、後半の暗く重い
展開が胸に応える。

クロエが病状を悪化させるのに対応して
部屋がどんどん歪んで小さくなり、光の
色も変わって行く様子は限りなく悲しい。
コランがクロエの病状を改善させるために
なれない仕事をする様も悲惨だ。

税金を滞納しただけで銃殺されてしまう
シックも哀れだし、シックの浪費を
防ぐため、思想家のパルトルを心臓抜き
を使ってしまうアリーズの必死さも
胸に迫る。

人間の肺の中で睡蓮が生長することで
その人の命を危機に曝すなんてことは
通常は有り得ないけど、この物語に
関しては、相応しい病気なのかな。

ともかくこの物語は果てしなく悲しく
寂しい気持ちにさせてくれる。
筆者の力量はすごいな。