僕は海の底の魚で、
君は水面より上にいる。
海の底は重いから、ゆらゆら進むよ。
でも、水面上に憧れもある。
君が外の世界にいるから、思わず出たくなる。
君は水面下は見えないから、外の世界しか知らない。
だから、僕が外をのぞきこんだとき、簡単にこっちにおいでよと言う。
行きたいよ、そっちに。
軽々と飛ぶ君の元へ。
同じように軽い身体で飛びまわりたい。
だけど、僕は海の底でゆらゆらしている。
外に出ようと、水面に近づくけれど、
怖気ずく。
そんなとき、君は僕を外に導こうとした。
思わず、外に僕は出てしまった。
出たら、なんのことはなかった。
僕も、君も、同じ。
水面を通して、見えていたものは、
なんの意味もなかったんだ。
君は笑う、
ね、言ったでしょう?
僕は思う、
ああ、そうだね。
でも、軽々と飛ぶ君の横で、
僕は、海の底に捉われているんだ。
上がって来るときに、落し物をした気がしてならない。
僕は何も持っていなかったけれど、
何かを置き忘れた気持ちが僕を捉える。
もやもやしている僕の横で、君は笑う。
そうやって、海の底に沈めた僕の落し物も、
そうやって、悩んでいる僕も、
全てをひっくるめて、受け入れてくれていた。
見えていなかったのは、僕の方だ。
海の底にあるのは、僕の心の一部。
ここにいるのは、僕の心。
全ては、僕だ。
心を捉われていても、君は笑う。
そんな君の眩しい笑顔に、
僕はとても惹かれ、とても怯えている。
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