米国株、ダウ平均219ドル高 リーマン破綻前水準を回復 銀行株高い
米国株、ダウ平均219ドル高 リーマン破綻前水準を回復 銀行株高い
【NQNニューヨーク=滝口朋史】4日の米株式相場は大幅高となった。ダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比219ドル71セント(2.0%)高の1万1434ドル84セント。2008年9月8日以来の高値となり、米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻する前の水準を回復した。米連邦準備理事会(FRB)が3日に追加の金融緩和策を決めたうえ、バーナンキFRB議長が米紙寄稿で株高が消費を刺激するなどと指摘したことが幅広い銘柄への買いにつながった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に3日続伸し、同37.07ポイント(1.5%)高の2577.34と08年1月3日以来2年10カ月ぶりの高値で終えた。
追加緩和を受けて外国為替市場でドル安が進み、原油や金など商品先物相場が上昇した。資源・エネルギー株が買われ、相場を押し上げた。取引終了前に「FRBが近く自己資本比率の高い金融機関の配当増額を容認する」との米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の報道が伝わると銀行株が一段高となり、ダウ平均は上げ幅を拡大した。
朝方発表の週間の新規失業保険申請件数は市場予想以上に増えたが、相場の反応は乏しかった。一方、米労働省が発表した7~9月期の非農業部門の労働生産性が市場予想以上に伸びたことが、企業収益の改善期待を誘ったとの指摘もあった。
S&P500種株価指数は4日続伸し、前日比23.10ポイント(1.9%)高の1221.06と08年9月19日以来の高値を回復した。業種別では全10業種が上昇。「金融」や「素材」、「エネルギー」が3%前後上げ相場全体の上昇をけん引した。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約13億7000万株(速報値)、ナスダック市場が約24億株(同)だった。
10月の既存店売上高が市場予想を上回った高級百貨店ノードストロームが6%あまり上昇。同業のサックスも4%近く上げた。会員制卸売りのコストコ・ホールセールも既存店売上高が予想を上回り、買いが優勢になった。ディスカウントストアのターゲットも高い。既存店売上高が予想を上回り、業績見通しも良好だった衣料品大手ギャップは大幅高となった。
ダウ平均構成銘柄では米銀大手JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)がともに5%あまりの大幅高となり、上昇率の首位と2位を占めた。ウォール紙の報道で、機動的な増配ができるようになり銀行株の魅力が高まるとの見方が買いを誘った。建機大手キャタピラーや非鉄のアルコアといった景気敏感株の上昇も目立った。
一方、ダウ平均構成銘柄で製薬大手ファイザーが唯一下落した。豪英資源大手BHPビリトンによるカナダの肥料メーカー、ポタシュ・コーポレーション・オブ・サスカチワンに仕掛けている敵対的TOB(株式公開買い付け)をカナダ政府が拒否したことを受けてポタシュ株には売りが優勢になった。BHP株は大幅に上昇した。 (11/5 10:30) NIKKEI NET