米国株、方向感に乏しい ダウ12ドル安、ナスダックは7日続伸
米国株、方向感に乏しい ダウ12ドル安、ナスダックは7日続伸
【NQNニューヨーク=滝口朋史】28日の米株式相場は方向感に乏しく、個別に材料の出た銘柄の売買が中心だった。ダウ工業株30種平均は小幅に続落し前日比12ドル33セント(0.1%)安の1万1113ドル95セントで終えた。化学大手のスリーエムが収益見通しを嫌気して急落し、ダウ平均の重荷になった。あす29日に7~9月期の米実質国内総生産(GDP)速報値の発表を控えていることなども様子見気分を誘った。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は小幅ながら7日続伸し、同4.11ポイント(0.2%)高の2507.37と、4月29日以来ほぼ半年ぶりの高値で終えた。7~9月期決算と同時に示した10~12月期の売上高見通しが市場予想を上回ったソフトウエア大手のシマンテックなど、買い材料が出た銘柄の上昇が支えになった。
朝方発表の週間の新規失業保険申請件数が市場予想に反して減少したことで、米雇用情勢への懸念がやや和らいだ。もっとも、GDP発表や米中間選挙、米連邦公開市場委員会(FOMC)といった材料が週末から来週にかけて相次ぐことから、積極的に持ち高を傾ける動きは限られた。
業種別S&P500種株価指数では「ヘルスケア」や「消費循環」、「消費安定」など全10業種中6業種が上昇。「一般産業」、「素材」など4業種が下げた。売買高はニューヨーク証券取引所(NYSE)が約10億株(速報値)、ナスダック市場が約19億9000万株(同)だった。
四半期決算の発表と同時に1株利益見通しの上限を引き下げたスリーエムは6%近く下落し、ダウ平均の構成銘柄で下落率が首位。米連邦準備理事会(FRB)による追加の金融緩和観測が浮上して以降、上昇が目立っていた建機のキャタピラーや非鉄のアルコアも売られた。
メキシコ湾岸の原油流出事故に関して、ガス流出を防ぐためのセメントが不安定であることを知りながら英石油大手BPに警告しなかったと米大統領の委員会が指摘した油田サービス大手ハリバートンが8%近く下げた。四半期決算で1株利益や売上高が予想以上だった化学大手ダウ・ケミカルは買いが先行したが、小安く終えた。売上高が予想を下回った日用品大手のコルゲート・パルモリーブも安い。
一方、シマンテックは4%上昇した。四半期決算で売上高が予想を大幅に上回ったフィルム・映像機器大手イーストマン・コダックが15%の大幅高。決算が大幅増益となり、1株利益が市場予想を上回った石油大手エクソンモービルも上昇。売上高や特別項目を除く1株利益が予想以上だった通信機器大手モトローラも小幅に上げた。
米大手投資ファンドのカーライル・グループによる企業買収で正式に合意する見通しになったと発表した通信系IT(情報技術)大手のシニバース・テクノロジーズは前日比28%の大幅高となった。 (10/29 6:38) NIKKEI NET