どうしても追いつめられないのは
朱色のトゥデイ
離されもしないかわりに
喰らい付くこともできない
土砂降りのサーキット
同じ排気量ではあっても
私のアルトはターボチャージャーのお陰で
恐らくは倍の馬力を発生させているというのに
短いストレートの終わりでしか
朱色のボディーに接近できない屈辱
最も近づいた瞬間
堪えきれずにブレーキペダルに足を乗せると
灯りが点ることなくトゥデイのテールランプは
第一コーナーへと吸い込まれていく
間髪入れずに右にハンドルを切れば
ノーズがインを向き
テールが大きくスライドする
本能的に戻そうとするハンドルを
押し止める意識は
アクセルを踏み込むことで
より鮮明になる
前へ
前へ
アクセルさえ踏んでいれば
スピンはしないから
ハンドルとアクセルの帳尻あわせをしている間に
トゥデイはヘアピンへと続く
登りの左コーナーに消えていく
短い加速区間しかない
インフィールドセクションで引き離された間隔は
ストレートで縮めるしかない
コーナーに向かって
ブレーキを使うことなく
アクセルオフによる荷重移動のみで
進入していくトゥデイ
ワークスの天敵