あらすじ(ストーリー)
前編
北海道・釧路―。クラスメイトの結婚式で故郷に帰った高橋七美は、廃校となる母校の屋上にひとり立っていた。
目を閉じるとあの頃のまぶしい記憶が浮かびあがる―。
7年前、高校2年生になった七美は、クラスの3分の2の女子が好きになるという、矢野元晴とこの屋上で出会った。はじめは意地悪でむかつくヤツとしか思えなかったが、矢野が時折見せる優しさと、垣間見える憂げな陰に徐々に惹かれていった。
ある日、矢野の親友・竹内匡史から、天真燗漫に見える矢野が、実は、年上の元恋人・山本奈々との死別という過去引きずっていることを聞き、ショックを受ける。しかし以前にも増して七美は、矢野に対する気持ちが押さえきれなくなり、生まれて初めての告白を・・・。
『矢野がすごくすごく好きだった人はもういないかも知れないけど、今、矢野のことをすごくすごく好きな人間がここにいる。それでプラマイゼロになんないかな』
一途な思いを貫く七美に対し、矢野は少しずつ心を開いていった。何度も何度も奈々の幻影と葛藤した末、矢野の過去をも含め受け入れる覚悟をした七美と、そんな七美を愛おしく思い始めた矢野。
『私が矢野を幸せにする。“過去”になんか負けない“今”、作ろう』
しかし、2人のサポート役に徹していた竹内の七美への募る想い、亡くなった奈々の姉・山本有里と矢野との間の秘密・・・純粋であるがゆえに複雑に交錯する四角関係が、矢野と七美の前に幾度なく立ちはだかる。
それでも、互いに気持ちをぶつけ合い、傷つけあいながら、2人はついには共に未来を未来を歩んでいくことを誓い合うのだった。
しかし幸せの日々もつかの間、両親の離婚で矢野は東京へ転校することになり、更なる試練が襲いかかるのだった・・・。
後編
5年後、東京。目下就職活動の真っ只中の七美のそばには、矢野ではなく、いつも彼女を支え続けていた竹内の姿があった
矢野の上京後、遠距離恋愛を続けていた2人だが、矢野はある日を境に、音信不通になってしまっていたのだ。
竹内は就職活動に苦戦する七美を息抜きさせようと釧路でのクラス会に誘う。
矢野との再会を期待し、思い出の場所である母校の屋上に向かった七美に、竹内が告げる。
「3年前の9月27日、高橋の誕生日に、あいつに会った」
竹内の告白により明らかになっていく空白の時間。それは不条理な運命に懸命に坑う矢野の時間でもあった―。
矢野が苦渋の選択の末、姿を消したこと、そして自分のことを竹内に託したことを知った七美は、これ以上追い続けることをやめる決意をする。竹内はそんな七美に優しく寄り添う。
「高橋が抱えきれない荷物は俺が引き受ける。だから大丈夫だ」
大学卒業後、念願の出版社に就職し、毎日を忙しく過ごす七美。
竹内は七美にポロポーズする決意をする。そんな矢先、七美は彼女の同僚で、偶然矢野の転校先の同級生だった千見寺亜希子に、仕事先で矢野が姓を変えて働いてるのを見たと告げられるのだった―。
矢野の幸せを追い続け、悩み続けた日々を経て、遂につかんだ矢野の消息。
矢野への想いと自分を支えてくれた竹内の愛情のあいだで揺れる七美「再会」の果てに、2人が誓いあった未来はあるのだろうか?
迷いながらも、七美はある決断をする・・・。
