私には親知らずがある。
5年程前に上と下を1本ずつ抜き、最難関である下の親知らずを残して歯医者とおさらばした。
上はまだ良かった。
下の時にちょっと手こずる歯だったのか思ったより時間がかかり、終いには顎がガクガク震えて口を開けていられなかった。
あの状態でちゃんと糸を縫えたのかなんとなく怖かった。
そして残す1本を前に、次の歯は大工事になるね!と行くごとに言われていたので怖くなり、予約をとらずに逃げた。
それが今、歯ぐきからこんにちはしている歯である。
おまえは確か、あの時の…!
あの頃はまだベールに包まれていた歯が浮上してきて一部が現れてきた。
これは…!
抜かざるを得ない!
腫れでもしたら大惨事!
重い腰を上げ新規の歯医者に出向いた。
レントゲンを撮るとあの時と変わらずあいつはその姿を見せた。
完全に横ではないもののほぼ横状態でぐいっと浮上していた。
出てくる時にちょっとまっすぐなるかと期待していたが、なんの代わり映えもなく生えていた。
しかも根本が曲がってる。
めちゃクソだるいパターンの歯だった。
クセ
クセがすごい!
結局紹介状を出してもらい、初めての大学病院へ行くことになった。
まず、人の多さに驚いた。
ニートをしていると人に対する免疫が非常に低下しているのでどこへ行くにも億劫だった。
持参したレントゲンでは不透明なため、レントゲンを撮り直すことに。
とにかく待ち時間が多い。
夏なら確実に死んでた。
レントゲンを撮るとき固定するバンドみたいなのを巻くんだけど、圧が凄くて目が出そうだった。
ちょっと出てたと思う。
眉辺りにも固定器具が来るので一層とび出る。
ちなみに口腔外科の先生はイケメン若手医師という感じでどこか頼りなく感じた。
説明をする時に先生が鼻マスクになるんだけど、私のファンデ+コンシーラーした鼻よりキレイな鼻やわ毛穴レスやなとかまったく関係ないことを思いながら説明を聞いていた。
きっと私か、私より若いかもしれない。
悲しくなった。
階級が違うとはいえ、片や医者、片やニート。
この図に震える。
テレビに出てくる若手芸人の年齢に震える。
もう私は若くないんだと思い知らされる。
若さへの執着がハンパではない。
若さ故に許されていたことが許されなくなるから。
年齢に見合ったレベルを求められるようになるから。
こわい
歳をとるのが
子供の時には誕生日が楽しみでケーキが楽しみで
今は恐怖しかない。
ケーキはめっちゃ食べる。