磯六ジョンソン。
二十年位前の話。
姉の嫁ぎ先で、どこから来たのか、雑種の白い仔犬が庭にやって来ました。
首輪もしていないその犬は、おなかを空かしていたようでフラフラしていました。
それでもその犬は、一番最初に発見した姉の義父に尻尾フリフリで近寄ってきました。
義父はその犬を可愛そうに思い、お家で飼うことに決めました。
食事を与えるとその犬はすぐに元気になり庭中を嬉しそうに走り回りました。
義父はその犬に名前をつけました。
命名「磯六」。
「いそろく」って…。
姉はその名前が可笑しく仕方ありませんでした。
しかし義父がなんでこの名前にしたのかは不明です。
磯六はすぐに家族の一員となり、家族みんなに可愛がられました。
勿論、磯六は外飼いでした。
当時田舎ではまだ外飼いが当たり前の生活でしたし、食事はドッグフードではなく家族のごはんの残り物をあげていました。
一年位経ったある日。
家族の不注意で首輪がゆるかったようで、繋いでいた鎖と首輪を残したまま、磯六はどこかへ行ってしまいました。
家族全員で探しても磯六は見つかりませんでした。
三日経っても、一週間経っても、一ヵ月経っても磯六はどこに行ってしまったのか、帰ってきませんでした。
日が経つ事に、だんだん家族のみんなはあんなにも可愛がっていた磯六の事を気にする事なく生活するようになってきました。
楽しく遊んだ日々やイタズラして怒られた時の落ち込んだ表情、そしてなによりも名前を呼ぶと尻尾フリフリですりよって愛想を振りまく事も全て磯六の事は忘れ去られていました。
一年位経ったある日。
姉は御近所さんと立ち話していた時に、その方のお家で飼っているワンコはとっても賢い犬だというお話を聞きました。
数日後、御近所さんの寄り合いでそのお方のお家にお邪魔した時でした。
見た事のある犬が玄関にお出迎えしてくれました。
「い、いそろく?」
ワンワン♪
まさにあの白い雑種で尻尾フリフリですりよって来る磯六なのでした!
あははは(笑)。いそろくってそんな変な名前じゃないですよ。
この子の名前はジョンソンといいます。
「ジョ、ジョンソン?」
そうです。この子がこの前あなたにお話した我が家のジョンソンです。
とっても賢くて、大切に育てているの。
もうこの子なしでは生きていけないわ。
でもね、もともとこの子も首輪もしていなくて捨て犬だったらしく我が家に迷い込んできたの。
もう一年位になるけどね。
ここで間違いなく、この子が磯六とわかった姉でしたが、最初家で飼っていた犬の磯六なのだと言えませんでした。
なぜならば、ジョンソンは今ニコニコしており、とっても幸せそうにしていたからです。
しかも、暖かいお家の中で飼われ、家族同様に生活してドッグフードも食べさせてもらっているのです。
そしてなによりも、この子を必要としているこのご家庭がある事になにも言えませんでした。
姉はそのお宅から帰るとき近寄ってきたジョンソンを撫でながら耳元で「磯六。幸せになってよかったね。元気でね…。」とそっとお別れをしました…。
姉は帰宅してからもその事を義兄にしかいいませんでした。
そして姉の家では犬を飼うことはあれ以来ないそうです…。
以上、私の姉の実話です。
おしまい。
姉の嫁ぎ先で、どこから来たのか、雑種の白い仔犬が庭にやって来ました。
首輪もしていないその犬は、おなかを空かしていたようでフラフラしていました。
それでもその犬は、一番最初に発見した姉の義父に尻尾フリフリで近寄ってきました。
義父はその犬を可愛そうに思い、お家で飼うことに決めました。
食事を与えるとその犬はすぐに元気になり庭中を嬉しそうに走り回りました。
義父はその犬に名前をつけました。
命名「磯六」。
「いそろく」って…。
姉はその名前が可笑しく仕方ありませんでした。
しかし義父がなんでこの名前にしたのかは不明です。
磯六はすぐに家族の一員となり、家族みんなに可愛がられました。
勿論、磯六は外飼いでした。
当時田舎ではまだ外飼いが当たり前の生活でしたし、食事はドッグフードではなく家族のごはんの残り物をあげていました。
一年位経ったある日。
家族の不注意で首輪がゆるかったようで、繋いでいた鎖と首輪を残したまま、磯六はどこかへ行ってしまいました。
家族全員で探しても磯六は見つかりませんでした。
三日経っても、一週間経っても、一ヵ月経っても磯六はどこに行ってしまったのか、帰ってきませんでした。
日が経つ事に、だんだん家族のみんなはあんなにも可愛がっていた磯六の事を気にする事なく生活するようになってきました。
楽しく遊んだ日々やイタズラして怒られた時の落ち込んだ表情、そしてなによりも名前を呼ぶと尻尾フリフリですりよって愛想を振りまく事も全て磯六の事は忘れ去られていました。
一年位経ったある日。
姉は御近所さんと立ち話していた時に、その方のお家で飼っているワンコはとっても賢い犬だというお話を聞きました。
数日後、御近所さんの寄り合いでそのお方のお家にお邪魔した時でした。
見た事のある犬が玄関にお出迎えしてくれました。
「い、いそろく?」
ワンワン♪
まさにあの白い雑種で尻尾フリフリですりよって来る磯六なのでした!
あははは(笑)。いそろくってそんな変な名前じゃないですよ。
この子の名前はジョンソンといいます。
「ジョ、ジョンソン?」
そうです。この子がこの前あなたにお話した我が家のジョンソンです。
とっても賢くて、大切に育てているの。
もうこの子なしでは生きていけないわ。
でもね、もともとこの子も首輪もしていなくて捨て犬だったらしく我が家に迷い込んできたの。
もう一年位になるけどね。
ここで間違いなく、この子が磯六とわかった姉でしたが、最初家で飼っていた犬の磯六なのだと言えませんでした。
なぜならば、ジョンソンは今ニコニコしており、とっても幸せそうにしていたからです。
しかも、暖かいお家の中で飼われ、家族同様に生活してドッグフードも食べさせてもらっているのです。
そしてなによりも、この子を必要としているこのご家庭がある事になにも言えませんでした。
姉はそのお宅から帰るとき近寄ってきたジョンソンを撫でながら耳元で「磯六。幸せになってよかったね。元気でね…。」とそっとお別れをしました…。
姉は帰宅してからもその事を義兄にしかいいませんでした。
そして姉の家では犬を飼うことはあれ以来ないそうです…。
以上、私の姉の実話です。
おしまい。