慶応大学、理研(谷口克グループ)、株式会社アンビシオンの3社の研究に基づく、医師主導のPhase 1 Clinical Trialです。

 

慶応大宅の発表内容抜粋は、以下のとおり。

 

「NKT細胞は、直接がん細胞をターゲットとして抗腫瘍作用を示す他の免疫細胞群と異なり、αGalCerパルス抗原提示細胞(千葉大学で実施された先行臨床試験において用いられた製品)がNKT細胞を活性化し、産生されるインターフェロン-γ(IFN-γ)の作用により他の抗腫瘍免疫細胞を活性化します。さらに、長期免疫記憶を作り、持続的な攻撃を可能にすることで抗腫瘍効果を発揮し、腫瘍の進行・再発・転移を抑制します。すなわち、がん細胞を直接攻撃するのではなく、患者さん自身の免疫系を活性化するため、がん種を問わず治療が可能となります。さらにNKT細胞の抗原受容体は、すべてのヒトに共通する唯一の受容体であり、ヒトにただ一種類しか無い抗原提示細胞のCD1d分子に結合した糖脂質(αGalCerなど)を認識して活性化されます。したがって、患者さんのヒト白血球抗原(HLA)タイプによる制限を受けずに治療が可能であり、全く新しいがん治療概念として確立されました

 

理研において、αGalCer誘導体172種類を化学合成し、NKT細胞活性化能及び抗腫瘍効果を指標としたスクリーニングを経て、αGalCerよりも数倍強くNKT細胞を活性化する新規糖脂質リガンドを取得しました。また、理研とアンビシオンとの共同研究により、末梢血液中に糖脂質抗原専門の抗原提示細胞を発見し、樹状細胞よりも強力にNKT細胞を活性化する能力を持つことを見出しました。

 

本治験製品は、がん患者さんの体内でNKT細胞を刺激し、NKT細胞の作用により自然免疫系を司るNK細胞の活性化、未熟樹状細胞の分化促進、獲得免疫系を司る細胞傷害性T細胞(CTL)の活性化、CD4ヘルパーT細胞やγδT細胞等のがん免疫反応に関わるさまざまな免疫細胞の活性化を同時に引き起こします。また、動物実験の結果から、1度の投与で約1年にわたる長期免疫記憶を誘導し、この期間常にがん細胞を攻撃することが確認され、持続的な強い抗腫瘍効果が期待されます。」

(発表詳細はこちら

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今回の薬の開発により、より強力にNKT細胞の活性が可能になった。 NKT細胞が活性すると、他の免疫細胞も活性化するので、抗腫瘍効果があるかも。」 という内容です。

 

しかし、他の免疫細胞が活性しても、癌にある様々な免疫チェックポイントの問題T細胞疲弊の問題はどうするのか? という疑問はのこります。

 

単剤というよりは、将来は他の免疫チェックポイント阻害剤との併用になるのでしょうか?

 

疑問は残りますが、最近は「ある特定の遺伝子変異を標的」とした、きわめてニッチな領域で有効な抗がん剤が開発されきていて、癌の種類や遺伝子変異を問わない抗がん剤の開発は少ないので、新しい一歩として、大きく期待されますね。

 

NK細胞を活性しようとすると、従来は、患者さんの血液を採取し、体外で培養して身体戻す、という方法でした。 NK細胞は強力な攻撃力がありますが、数が少ないため、効果に十分なNK細胞を培養するためにな大量の血液採取が必要でしたが、そういう課題は解消されそうですね。