群馬県、四万(しま)温泉近くでの鉱物採集 | なんだかんだの石集めと与太話

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鉱物を初めて手にしたのは、小学生の時。それからずっと中断。
2011年頃より、やっと暇になったので、また石の世界へと羽ばたき始めたけど。


 四万鉱山は群馬県にあり、鄙びた温泉地として知られる四万温泉に近い、蝋石鉱床として知られていました。その近くに4年ほど前での鉱物採集のお話です。
 採集箇所は2箇所です。最初のところは、鉱山近くの露頭です。その近くの林道で、道の崖が崩れて、道での採集が可能なところです。

 ここでは、フォイト電気石を主に。白い石の中に球果状、または針状で産出します。露頭や道に落ちてる石を割ると出てきます。崖とは反対の川岸の石の中にもたくさん在ります。これは崖が崩れて道に落ちたものを退けたものだと思います。
 白い石をよく見ると0.1mm以下の赤黒い金紅石(ルチル)がたくさんついているのがわかります。微細な黄鉄鉱を含む石もある程度見られます。紅柱石やコランダムの産出も知られていますが、こちらは全然見つけられませんでした。

 

苦土フォイト電気石 □Mg2AlAl6(BO3)3(Si6O18)(OH)3(OH) 三方晶系

針状結晶が放射状に発達している。

こちらは別の試料、球果状にたくさん見られる。写真幅約8cm


 次の場所はそこから1kmほど離れた、抜けるとダムサイトに出るトンネルの手前の左側にある坂道を登って行きます。2つめの沢を登ると、最初は時々微細な鏡鉄鉱を含む石を。更に急な沢を登って平になった草地の手前で、コークス状のあまり面白くなさそうな白っぽい岩を何気に割ると薄い水色をしたデュモルチェ石を見つけることができます。でも蝋石中にあるためか、何かぼんやり、乾燥すると白っぽくて鉱物らしくないのが難点です。


水の流れていない沢を登って、平らな草地が生える手前のところでデュモルチェ石の岩塊が。


デュモルチエ石 AlAl6BSi3O18 直方晶系


 コークス状に穴が多くガサガサした石では、小さい水晶の結晶が見られ、アルミナに富んでおり、ダイアスポア、コランダムが採取できるらしいですが、これがそうなのかな状態ではっきりしません。

 この2つの産地では、パイロフィライト、ダイアスポア、コランダム、紅柱石、菫青石、ルチル、フォイト電気石、デュモルチェ石、鏡鉄鉱、黄鉄鉱などが採取できるようです。後ろの5つは何とか確認、採取できますが、あまりめぼしいものでないのが残念です。まあ、フォイト電気石とデュモルチェ石でいいかなと。

 

ルチル(金紅石) TiO2 正方晶系

写真はルチル。赤黒い点の箇所がそれ。0.1mmほどのサイズ。

中央と右下の隣接して列になっている3点などに。


産地は以下の2つの論文で確認できます。

地質ニュース661号(2009)
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/09_09_03.pdf

群馬大学教育学部紀要(2010)
https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/5101/1/04_Yoshikawa.pdf