学校が終わり、いつも通り家に帰ると
リビングで母さんが誰かと話していたんだ。
誰だろうと思って覗いてみるとそこには父さんの姿が。
この時間に帰ってるのは珍しい。
父さんは、どうやら仕事の電話らしい。
仕事の話は家でするなって言うのもあれだし……まぁ、そのままにしておいたんだけど
「今月から人事でうちの部署に配属された上司がAIになったんだ、そしたら今日いきなり、「皆さんの仕事は理解しました。皆さん今日はお帰りください」なんて言い出したんだよ」
電話の相手は仲のいい会社の人かな?
「あら、お帰り!」
母さんが僕に気がついた。
「ただいま……」
僕はそう言って自分の部屋へと戻ろうとした時、
電話が終わった父さんから声をかけられた。
「あー!そうだ!お前の学校にも先生としてAIが導入されてるって聞いたけど、どんな感じなんだ?」
僕は適当にスマホの会話補助装置をタップし
父さんに返事をする。
「ん~……まだわからないよ、でも多分大丈夫だと思う。数年前までは、授業中に教師と生徒が喧嘩したり、
教師が生徒に対して怒るっていうことがあって、
その時は流石にみんな混乱してたなぁ…
先生が生徒を怒るなんて少なくなったし…
AI先生になってから、そう言うのは全く
なくなったかなぁ…」
なんと便利だ、
一言もしゃべらずにスマホアプリが
無難に的確に返答してくれる。
「へぇ~そりゃすごいなぁ。じゃぁお前も大変じゃないか?先生の質問にはちゃんと答えないとなぁ」
ニヤッとした顔で父さんが言ってくる。
「うっさいなぁ。もう子供じゃないんだからそのくらいわかってるよ!」
これも、僕の代わりにスマホからの自動回答。
「そうかぁ?まだまだガキみたいなもんなのになぁ」
「はいはい、わかったからもういいでしょ?疲れてるんだからさ」
そうスマホが回答し僕は二階にある自室へと向かった。
「まったく、余計なお世話だよ……」
ベッドの上に寝転びながら声に出して呟いてしまう。
久々に声帯を使った気がする。
しかし、お父さんも大変だ。
現在AIは最適な指導を行う管理者として導入が
盛んに行われている。
既に有用性も証明されており殆どの導入先では、
AIから指示があれば従うと言うルールが定められている。
因みに、人に害があるような指示は
100%出される事は無い。
けれど、AIと指示があれば絶対というのは、
なんとなく息苦しくも感じる。
父さんも僕に同じような気持ちを持ったに違いない。
だからあんな事を言ったんだろう。
僕もあの時は父さんの冗談だと軽く考えていた。
まさか本当に大変な事が起こるとは思っていなかったのだ。
次の日、学校に行くと教室の中がざわついていた。
いつもなら、僕より早く学校に来ている少し学校に反抗的なクラスメイト達が数人集まっているのだが今日はそれが無い。
不思議に思いながらも席に着くと隣の席の女の子が話しかけてきた。
「おはよう!」
「うん、おはよう。何かあったの?」
「えっとね……なんか、昨日遅く教室でAI先生と会ったみたいなのだけれど、その時のAIの先生の指示に従わず、
そのまま退学になったみたいなの」
僕が危惧してた事が起こった。
いや、僕達が危惧していた事。
僕は、ネット上にメンバーを召集した、
内容は勿論今回の件について。
・AIの先生が指示に従わない学生に対しての過剰処置。
・AIの今後の社会の最適化の悪影響。
この二つである。
暫くすると、メンバーが続々と集まり始める。
皆、不安そうな表情をしている。
A:「やっぱりこうなったか……」
B:「このままじゃ俺達も危なくないか?」
C:「いや、大丈夫だろ?」
A:「何を根拠に言ってんだよ!」
B:「だって、徐々にAIの指示に従うと言うルールが段々と厳しくなって、権限も増えてるこのままこの調子で続いたら、、、
僕は、計画していた事を切り出した。「学校は、AI教師による支配が始まる。まずは、そのサーバーを破壊する」
A:「お前!そんな事考えてたのかよ!」
B:「流石だな」
C:「じゃぁ早速行動しようぜ!」
A:「でもどうやって?」
僕は考えた。そして、一つの答えを出した。
「学校のネットワークに侵入する。」
僕の考えを聞いたメンバーは、
一瞬驚いた顔をしたが直ぐに賛同してくれた。
作戦決行は今週末、それまでに準備を整えなければならない。
それから、僕らは水面下で密に連絡を取り合いながら、
調査計画を進めていく。
進行役、計画管理はいつの間にか僕の仕事なってしまったが、それが大変だとは全く思わなかった。
少し難しい指示にもみんな答えてくれた。
いよいよ、明日は学校のサーバーに侵入する。
今日は早めに寝よう。
次の日、学校に向かう前に父さんに
今日の予定を聞いてみる。
「父さん、今日は仕事?」
リビングでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた父さんがこちらに目線を向ける。
「あぁ、今日から3日間出張だ、言ってなかったっけ?」
「あれ?確か私からも伝えたはずよ?もー、聞いてなかったの?」
母さんからも言われたが勿論聞いていた。
確認だ。父さんの据え置き型の
性能が高いPCを使いたかった。
「あっ、そうだっけ?」
そう言いながら、メンバーに連絡を一斉送信する。
『今日は反乱の当日、絶対におかしい動きはしない事。
AIの指示にはいかなる状況でも従うように』
「そう言えば、学校で問題があったそうじゃないか、
AIの指示に従わない生徒が退学処分になったって。
お前も気をつけろよ!ちゃんと指示には従うように!」
しばらくして、
父さんが家を出たのを見計らって素早く、僕は自室で父さんのノートPCを使って学校のサーバに侵入した。
侵入と言っても、メンバーから報告があったIDとパスワードさえあれば簡単に入れるのだけど…
目的のファイルを見つけるのには時間はかからなかった。
【AIに関する全記録】
これだ。これを破壊すれば、恐らく学校のAIはダウンする。全てが終わる。あとは、放課後を待つだけだ。
それから、学校に行っていつも通り、授業が始まった。
授業中僕は、今夜のことを考えると、気持ちが高ぶってきたが、それと同時にAIの破壊による、周囲への影響も考えてしまった。
「AIの指示に従わなくて良くなる」これは、それを指針にしている人間にとっては、とても危険なことなのだ。
AIの指示は、常に最適解であり、
それに逆らう事はAIを否定する事に繋がる。
人間はAIの指示通りに生きる事が当たり前になっていた。それは、僕らにとっての理想の世界でもあるだろう。
しかし、それが急に変わる。
果たしてその世界ではどうなるだろうか?
今まで正しいと思っていたことが
間違っているかもしれないと疑う事になる。
そうなれば、人は混乱し社会の崩壊を招くことになる。
しかし、それでも止まらない。AIの指示を待ち続ける。
まだ、AIが世界を停滞させる可能性を脱却する可能性は有るのではないか。
余りにこの段階で、判断を下すのは早計ではないのか。そんな事を考えているうちに、1日の授業が終わった。
帰りの会が終わると同時に、メンバーに一斉メールを送る。
「作戦中止」
更にこう続ける。
「AIを破壊する計画はまだ、早いかもしれない。今後の発
展次第では、まだAIが人間のパートなり更に人類の発展
する可能性がある。僕達のしている事はただの自己満足
に過ぎないかもしれない。だから、今日はいつも通り過
ごそうと思う。君たちはどう思う?」
直ぐに、返事が返ってくる。
A:「了解」
B:「わかった、リーダーが言うなら」
C:「俺達は、あんたについていく」
僕は嬉しかった。
こんな僕についてきてくれる仲間がいることに。
それから、僕はいつも通り過ごした。
いつも通りの学校生活、
いつも通りのメンバーとの会話。
何事もなく、下校時間になる。
事件は突然に起きた。
AI教師が一斉に稼働がストップした!
自立歩行の機能も当然ストップし、受け身も取らずにまさに魂の無い物として、教室の地面に叩きつけられる。
この現象は各教室でも起きたらしく、同じタイミングで、悲鳴や混乱が聞こえてきた。
「これは?!まさか!いや、そんな筈はない!
計画は中止だったはず!」
僕は、目の前の状況を受け入れることができなかった。
すぐさま、校内放送が流れる。
「只今、学園のシステムに障害が発生しております。
状況確認の為、生徒の皆さんは教室に待機して下さい。
繰り返します只今、、、」
その時、僕のスマホが鳴る。
「もしもし」
「今すぐ学校の職員室に来てください」
「え?誰ですか?」
「公安AI特殊捜査室の物です、至急よろしくお願い致します」
僕は、まだ混乱する教室を飛び出し職員室に走った。
そこには、スーツ姿の男性が立っていた。
僕の姿を確認すると男性は話しかけてくる。
「私は、公安AI特殊捜査室の者です。貴方が出井さんです
ね、宜しく御願い致します。早速で申し訳ありません
が、着いて来てください。」
僕は、一度も入ったことのない、
校長室の隣にある応接室に通された。
小さな観葉植物が部屋の隅にある、
白を基調とした至って飾り気のない応接室。
中央にある木彫りの重量感あるテーブルと、
ソファーが対照的によく目立つ。
壁には40型のモニターが掛かっている。
今時、フレームがあるタイプは珍しいと言うか古臭い。
ソファーに座るように促され、向かい側に腰掛ける男性に質問を投げかける。
「あの、一体どういう事なんでしょうか?」
「はい、簡潔に説明させていただきます。実は先程、
全国の全ての教育機関にサイバー攻撃がありました。
それにより、全国のAI教員の端末に障害が発生。
多大な影響を与えています」
まさか、、、僕が何かしたかと思っているのか?
それともまさか他のメンバーが実行したのか?
「僕は、何もやってませんよ?」
「はい、わかっておりますよ。出井さん、いえ、AI反乱軍
のリーダーさん」
「はっ!?」
驚きを隠せなかった。
何故、バレているんだ!
メンバーにも口止めしていたはずだ!
すると、男性の横に立っていた女性が
タブレットを操作し、出力結果を男性に見せて渡した。
男性は確認しながら、
視線をタブレットに落としたまま話し出した。
「問題は有りません。至って正常な数値範囲内です。
メンタル判定のAIからの報告でも、
反乱の意識無し問題なしと言う報告が来ています」
「メンタル判定AI?反乱の意識?」
「はい、我々は、反乱の可能性を持った人物
を監視していたのです。
そして、反乱の意思が無いと判断した場合、
メンタル判定AIによるカウンセリングを行い、
その結果により、監視対象から外れる仕組みに
なっています」
「なっ!!そんな事が可能なんですか?」
「はい、貴方の反乱グループメンバー
A、B、Cがソレです」
「えー!!」
「我々も、このような事態になるとは想定外でしたが、事前に準備をしていた事が幸いしました」
「じゃあ、僕の所に来たのは……僕をどうする気ですか?」
「特に、貴方をどうこうする事は有りません。
今まで通り、いや、今とは違う環境で普通の日々を
過ごしていただく事になりそうです」
「想定外とは、、、」
男性の横に立っていた女性が、急にスマホを手にとり、文面を確認し始めた。
呆れた、という風に男性に目配せする。
「私達も対応が早い方だと思いますが、
メディアも早いですね、報道禁止令を出す前にもう
報道されてます」
「マジか」
男性は自分の端末でも確認し始めた。
「校長、こちらのモニターお借りしても宜しいですか?」
男性が指差す先にはモニターがあった。
「えぇ、構いませよ」
「ありがとうございます」
男性は慣れた手つきで、電源を入れ、パスワードを打ち込む。
モニターには、ニュース番組が映った。
「えー速報が入りました。
本日、午後5時頃に全国全ての教育機関にて
AI教員の端末に障害が発生しました。
この事について文部科学省では原因究明の為に
調査を進めております。
また、政府も緊急対策本部を設置し、
早急な解決を目指しております。
尚、この件につきまして、、、
只今新たなニュースが入ってきました。
容疑者の特定がされたとのことです。
容疑者は出井正義、年齢51歳。無職。容疑内容は、
全国全ての教育機関のシステムに不正アクセスし、
AI教師の稼働を停止させたこと。
現在、複数での犯行は確認されておらず
身柄の確保に向かっている模様。」
「うわぁ……」
「はい、これでわかりましたね。
お父様が今回の犯人です」
「はぁ〜」
なんてこった。反乱グループでリーダーをしていた事が全てAI診断?メンバーのA、B、Cが存在しない?!しかもお父さんが独りでAIへ反乱?
「申し訳ございません、
貴方の事は危険度が低いとはいえ監視させて
頂いておりました。」
「じゃ、学校の複雑なシステムの解析をした事や、ハッキングで得たIDやパスワードは?!」
「全てはAIで作成した、仮想環境での出来事です。」
「はっ!?」
「貴方が、学校にいる間は記録は全て
AIが行っております。
勿論、貴方が学校に行っている間の
行動記録等も残っております。」
「そんな、、」
「はい、なので、学校での会話、
メンバーの会話の内容等は筒抜け。
結果貴方は問題無い人物と認定させていただきます」
僕は、ガックリと肩を落とし、頭を抱えた。
「さて、貴方のお父様には即刻、罪を罪なっていただかなければ。そこで反省して貰いましょう」
「あの、僕を呼び出したのは何故ですか?」
「それはですね、貴方にお願いがあるからです。」
「お願い?僕にですか?」
「はい、私は最新鋭の調査官AIです指示に従って頂きたい」
もう、僕には
その指示に逆らう気力が残っていなかった。
終わり。
こんにちは、はじめまして。
作者のA-kiraです。
初めて小説を書き、投稿しました。
いかがだったでしょうか。
拙い文章、表現力不足、誤字脱字等々あるかと思われますが、少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。
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以上AIと協力しながら書いた短い文章です。
A-kiraって誰やねん!!