名古屋市緑区の小沢きよのさん(69)は手話サークル「たんぽぽ」の一員で、地域の小中学校での手話養成講座などボランティア活動をしている。

25年前、子育てが一段落したのを機に、緑区の生涯学習センターで手話講座を受講。耳の不自由な人たちと一緒に机を並べて学んだ。終了後にその仲間でサークルを立ち上げ、現在まで続けている。

思い返すと、当時は手話がまだ世の中に認知されていなかったように思えるとのこと。電車の中で手話をしていると、遠巻きに「あの人たち…」とひそひそ話が聞こえてきたりした。

「見てはいけないけれど見てみたい」というような雰囲気が伝わってきたという。

この春、サークルの仲間4人で岐阜の大垣へ花見に出掛けた。そのうち耳が不自由なのは一人。他の3人は自然に手が動き、道中の4人の会話はすべて手話になった。

帰り道に喫茶店でおしゃべりをしていた時のこと。隣のテーブルに座っていた40代の女性が話し掛けてきた。

「手話って美しいですね。特に表情とその手の美しさに見とれてしまいました」

突然のことでびっくりしたが、みんなうれしくなった。その人は、お住まいが弥富市とのこと。金魚の話を手話で通訳した。

小沢さんは、手話を習い始めた当時のことを思い出した。先生の手の動きを見て、同じように「なんて美しいんだろう」と見とれたことを。それが本格的に始めるきっかけになった。

小沢さんから小欄読者の皆さんへ。

「たいていの地域に手話サークルがあります。正式に習わなくてもいいので、ぜひ一度遊びに出掛けられてはいかがでしょうか」

<中日新聞掲載2013年6月30日>

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