◎中森明菜「コンプリート・シングル・コレクションズ~ファースト・テン・イヤーズ」

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ワーナー在籍時代の「スローモーション」(1982年)から「二人静」(1991年)までの全シングルのAB面を完全収録。4枚組、全56曲。曲目は→ こ ち ら


『音質はギリギリ合格点』

私は明菜ちゃんのデビューの頃からのファンで、ワーナー時代はシングルを全部持っていました。
明菜ちゃんの曲はB面もA面とほとんどレベルの差がありません。
だからもちろんB面コレクションの「もう一人の明菜」も持っていたのですが、音質や音圧に不満を感じるようになったので、このBOXを購入しました。

ところが音を出してみると、カスタマーレビューを読んで感じていた不安が的中しました。
低音ばかりが強調されており、高音は安いラジカセみたいに全然出ないのです。
ドラムのシンバルもサ行の歌声も濁った感じがして、スッキリと聴こえません。
私は「高かったのにはずれだぁー!」とがっくりうなだれました。

ところが何度か聴いているうちに、なんだか音に懐かしさを感じるようになり、不意に昔アナログレコードをかけていた場面に引き戻されたような錯覚におそわれました。
そう、このCDからはアナログっぽい心安らぐようなまろやかな音色が出ることに気がついたのです。

ライノ・リマスターがそういった音を狙っているのだとしたら、ほぼ満点の仕上がりと言えるでしょう。
貴重な個性を持っているとは思いますが、私の耳には全音域がクリアな2006年リマスタリング盤の音質より劣っているように聴こえます。
B面曲のグレードアップはできましたが、少々残念な結果になりました。

余談ですが、あらためて明菜ちゃんのシングルを聴き返していて感じたことがあります。
BOXに封入されている豪華なブックレットには、それぞれの曲の解説がこと細かく書かれています。
そのなかに「明菜はB面にする予定の『I MISSED“THE SHOCK”』にすごく惚れ込んでいて、発売日を遅らせてまでA面にした」というエピソードがありました。

私はよく意味のわからない言葉の単調な繰り返しが延々と続くこの曲だけはどうも好きになれません。
そしてその頃から彼女の音楽性が難解で暗鬱な方向へ進み始めたような気がするのです。

明菜さんは近々新曲をリリースされますが、歌詞は英語だそうです。
私は明菜さんにあまりマニアックに自分の音楽を追求してほしくありません。
それよりも、歌っていて自分も楽しくなれて、聞き手にも親しみやすい「ファースト・テン・イヤーズ」のような曲にまずは原点回帰していただきたい。
そうしたうえで、完全復活に向けて前進されることを心からお祈りしています。


※このレビューは2015年9月5日に投稿しました。




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