良い意味でも悪い意味でも『うつ病』が浸透してきた世の中です。ただ、大まかなイメージと実情がかけ離れている(乖離)のも事実ですよね。
うつは心のカゼだから、ゆっくりお休み。。。
世間ではそんな印象が多いでしょう。心のカゼはうつ病とは言いません。
あえて心のカゼがあるのならば、一時的なうつ状態ではないでしょうか??
そもそも、うつ病とうつ状態は似て非なるものです。
うつ状態とは、気分が塞いでションボリしたり、ある事柄に対して発生することが多いものです。学校の行事や、会議のプレゼンなど。その事柄を回避したり、遂行し終われば、気分は自然と揚がってくるものです。
いわゆる、気力で気分を変えることが可能な状態がうつ状態という人間に備わっているいわば生理現象なのだと思います。
一方で、うつ病になると当人一人で何とかなるものではありません。そこはもう立派な病気としての位置づけであり、気力でどうにかするということができなくなります。うつ病は脳内の神経伝達物質の異常等から発生する医学的に確立されている病気です。
心はどこにあるかと言えば、胸にあると言う答えもありますが、科学的には脳内物質が支配をしています。
セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン(モノアミン)これらが主として感情を司る物質なのです。
うつ病に罹るとセロトニンやノルアドレナリンのはたらきの低下が見られるのです。
セロトニンは気分をリラックスさせる作用があったり、行動のブレーキ役を担っている物質です。母なる物質とも言われるほど大切なものなのです。
ノルアドレナリンは行動(意欲面)に作用することが知られており、不足すると意欲が出ません。また行動を継続させるという作用もあるようです。
ドパミンは快楽物質とも言われ、行動の火付け役だったりもします。
うつ病との見分け方は結構大変で、最近では知名度ばかりが広がっているためにうつ病ではないうつ病患者さんが増加しているそうです。
一番簡単なのが、睡眠、食欲、性欲などの人間に備わっている本能がしっかりと機能しているか。
うつ病患者の大多数が不眠に陥ります。不眠と言っても眠りが浅いのではなくて、眠る事が出来ないのです。それが平気で1週間2週間持続します。昼間に眠れると言えば、眠れない事が多く、まさしく不眠なのです。
食欲も落ちます。ひどくなると、食事を目にすることが辛くなるのです。味がしない、砂を噛んでいる様な状態に陥り、食事を摂ることが苦痛と感じます。
それに伴い体重も減ります。体重の10%が落ちると言うこともまれではありません。
まぁ、想像してみてください。不眠が1週間持続するということを。どんなに疲れていても眠れない状態なのです。
神経症の方は眠れなかったと言う場合が多いのですが、それでも少なからず睡眠は取れているものです。しかし、うつ病になると、夜な夜な夜が怖いのです。涙が流れてきます。
生きることに絶望しかないのです。死の感情に支配されてしまうのも特徴ですね。
さぁ、ここまで来るとさすがに普通の状態ではないとお分かりだと思います。
当人はうつ病だとは思っていないのも特徴です。とにかく自分を責めます。
その悪循環を断ち切るのは、遊びでも気分転換でもありません。
薬、休養が絶対に必要なのです。
脳内物質のアンバランスを補正するために、抗うつ薬を飲みます。
そして、不眠による体力の消耗もあるため、急性期には睡眠導入剤を積極的に用います。
まずは睡眠を取ることです。
抗うつ薬は残念ながら即効性がありません。一般的には2週間を要します。その間に、抗不安薬を飲むこともあります。
抗うつ薬が合って、効果が出て初めて治療の路線に乗る事ができます。
一般的には半年は様子を見ます。そう考えると、心のカゼなんて到底言えませんよね?
カゼは放っておいても治るものです。ましてや半年もカゼなんていうことはありません。もしそうなら他の病気を疑います。
うつ病は誰でもかかる可能性がある病気です。一生のうちに5人に1人ほどの割合でかかるようです。
しかし、道のりは険しく、あえて表現するのであれば私は
『心のガン』
という表現をします。うつ病そのものは放っておいて死ぬという病体ではないのですが、症状として自殺念慮があるため、死の危険性は常にあるという認識も必要です。そういうことを踏まえて、早期発見早期治療をすれば治りやすいのもあって、心のガンと表現させていただきました。
うつ病と不眠はセットで現れることが大半なので、睡眠状態を把握することが健康へのバロメータとなりますね。