Amazonプライムビデオにて観賞。




【あらすじ&概要】
「武士の家計簿」で知られる歴史家・磯田道史による評伝「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」を映画化。
時代劇では初主演となる阿部サダヲほか、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、松田龍平ら豪華キャストが共演。物語の舞台となる仙台出身のフィギュアスケート選手・羽生結弦が、仙台藩の第7代藩主・伊達重村役で映画に初出演を果たした。
「白ゆき姫殺人事件」「予告犯」の中村義洋監督がメガホンをとり、時代劇に本格初挑戦。
江戸中期、財政難のため民衆に重税を課す仙台藩では、破産や夜逃げが相次いでいた。寂れ果てた宿場町の吉岡宿でも年貢の取り立てや労役で人々が困窮し、造り酒屋を営む穀田屋十三郎は、町の行く末を案じていた。そんなある日、十三郎は、町一番の知恵者である茶師・菅原屋篤平治から、藩に大金を貸し付けて利息を巻き上げるという、宿場復興のための秘策を打ち明けられる。計画が明るみになれば打ち首は免れないが、それでも十三郎と仲間たちは、町を守るために私財を投げ打ち、計画を進める。
(映画.comより引用)

2016年公開


【★★★★(4.0)】

タイトル&阿部サダヲ主演でコメディ寄り かと思いきや!

実在の出来事という説得力と分かりやすく伝える演出及び俳優たち。



感想(※ネタバレ含みます※)



まず、主演は誰なのか

阿部サダヲなのか。そこは観ていて懐疑的になっていきました。

クレジットでの主演は間違いなく阿部サダヲですが、実在の出来事を元にしたこの話は主演の英雄譚などでは無い、と気づかされます。

同時に、特別悪い者がいるワケでもなく、

しかしながら出来事に対して誰かがアクションを起こし、少しずつ物事が動いて、やがては語り継がれるべき物語へと発展する。

そんなことを映画として伝える為、この作品は丁寧に作られています。

主演として阿部サダヲを置き、ポスター、予告宣伝のポップさ、豪華な俳優陣。

ある意味では騙されたとも感じますが、決して派手ではない映画を観るに至らしめてくれたことに結果的には感謝しています


つまり主演は一人でなく主演陣全体であり、皆が皆ひとつひとつ役割を担う群像劇であるということだと思う。


監督は中村義洋、脚本には「鴨とアヒルのコインロッカー」「ゴールデンスランバー」などでも中村監督とコンビを組んだ鈴木謙一がクレジット。
良いコンビなんでしょうな。

丁寧に毎回、「⚫⚫貫文=○○円」と出してくれる配慮も当然といえば当然だが有難い。


俳優陣の豪華さも「=入りやすさ」「=観やすさ」と捕らえると有難く、ある意味での配慮ともとれる。



制作に至ったエピソードもまた面白いもので、「武士の家計簿」を観た宮城県大和町の元町議が原作者磯田道史に国恩記を本に書いて欲しいと手紙を送り映画の原作となる「穀田屋十三郎」が完成(「無私の日本人」に所収)。

そして東日本放送が40周年企画で中村義洋監督に映画製作を依頼。

「無私の日本人」を読んだ読者が東日本放送勤務の娘に伝え、娘も読み同僚に伝え、同僚は元同僚へ…その元同僚が中村監督の奥様だったそうで、奥様から中村監督へ伝えられ監督は東日本放送へ製作企画を出した。
はじめは時代劇に難色を示されたが、「無私の日本人」は東日本放送の社長にまで伝わり感動したので結局、映画化が決まったそうな。

映画の中身同様、じわじわ効いてくるカンジ、不思議で良いですね。



スタッフクレジットに入っている人をみると、
プロデューサー:池田史嗣 「武士の家計簿」「八日目の蝉」「舟を編む」「紙の月」など

納得ですね。

監督:中村義洋、脚本:中村義洋 鈴木謙一でプロデューサー:池田史嗣


ありがとうございました。
なんだか不思議な気持ちですが、
宣伝、予告で阿部サダヲのポップな時代劇(゚∀゚ 三 ゚∀゚)→観賞前半、阿部サダヲ活躍しな…しない…ダマされた→観賞後半、良い話だなぁ~誰も特別悪くない観賞後、だましてくれてありがとう。観てみて良かったよ。

つまりはまぁ、この内容とわかっていたなら出会っていなかったような地味だけど良い話みたいなのを上手くエンターテイメント化してくれてなんだか有り難かった

そんな映画でした。

以上。