【もし同じような旅をされるのであれば参考までに】
①靴
事前にネットや登山ショップなどで情報収集したところ、街道歩きやお遍路にはローカットのハイキングシューズがいいと聞きました。

平地の舗装路がほとんどなので、靴底も登山靴のビブラムソールのように固いものではなく、少し柔らかめでもいいとのことでした。
もう一点は、ゴアテックスを使用していて、水が沁みず、通気性のあるものにすべきとのこと。

靴の中が湿ることで皮膚が柔らかくなり、靴擦れが起こりやすくなるようです。
結局、私と妻は同じ靴になったのですが、好みで靴底はかなりしっかりしたものを選びました。

トレーニング中にそれまで使っていたもう少し柔らかい底のものより疲れにくい気がしました。

また、固いビブラムソールでも平地が歩きにくいようには感じませんでした。
 

その靴で歩いた結果ですが、二人とも3日目ぐらいから10日目ぐらいまで足の親指や小指の皮膚が痛くなりました。

妻は水ぶくれができ、私は靴を脱いだ時に触るとヒッ!となるような痛みが続きました。
バンドエイドを貼ってみたり、ただの包帯止めのようなテープを巻いてみたり。
ただ、10日を過ぎたころから皮膚の痛みはほとんど気にならなくなります。
靴が伸びたのか、足が靴に合わせた形に変わったのか、靴紐の締め具合がわかってきたのか、は不明です。
 

30km近く歩いた日はやはり足裏全体がジンジンしますが、特に一か所が痛いと言うことはありません。ただ、夜中にトイレなどでベッドから起き上がった時に足裏が痛くてすいすいは歩けません。朝も同様ですが、100歩ぐらい歩くと治ります。
 

私はおそらく古い捻挫の影響だと思うのですが、20日目ぐらいから左足首が痛くなり、夜寝る時はずっと痛み止めの湿布を貼っていました。
家に帰り着いた今もまだ痛みがあります。少し時間がかかりそうです。

②荷物
荷物は最軽量にすべきと思います。
いつもちょっとした登山では8~10kg程度は普通に担いでいます。
今回も出発時点では、ガスコンロや魔法瓶、コッフェル、カップ類なども入れていて10kg弱ぐらいだったのですが、毎日歩き続けると足裏への負担が一番辛くなります。

痛くなるのは靴の中だけで、太腿や脹脛、膝、股関節はほぼ問題ありませんでした。
とにかく足裏への負担を減らすには荷物を軽くすることです。
私は9日目に岡崎に住んでいる友人と食事をした際に、上記のほとんど使わない休憩お茶セットを預かってもらい、1.5kgほど荷物を軽くしました。
絶対必要なものは、雨具類、ガイド本、スマートフォン、予備バッテリー、薬類、衣類ぐらいでしょうか。女性は化粧品の類で最低限の重量が増えるようです。

③スマートフォン
まず、第一がコンビニ探しです。
コンビニ探しと言っても、それはトイレ探しの意味が大きいことになります。
午前、午後ともに少なくとも2~3軒はコンビニを探して歩くことになります。
ガイド本「ちゃんと歩ける東海道五十三次」にも若干コンビニは載っていますが、それではトイレがもちません。公衆トイレもそうそう見つかりません。
一日に何度も「近くのコンビニ」と検索することになります。
また、「ちゃんと歩ける東海道五十三次」は旧東海道のガイドが中心なので街道の周りの大きな地図把握ができません。なのでスマホの地図アプリも併せて見ながら歩くことになります。
あとは、宿探しと予約、食事処探し、名物探しで、ホテルに入ってからもずっとスマホを見続けています。

足の次に目が痛くなります。

④コンビニ
先に書いたとおり、まずはトイレです。
あと、昔はあったであろう茶店(ちゃみせ)は今はありません。
なので、コンビニが現代の茶店です。
コロナ禍でイートインスペースが使用できなくなっているのも辛かったです。
コンビニで座って休憩できればいいのですが、それができないとトイレを借りて、何か買って外に座り込むか、またスマホで近くの公園を探すか・・・。
コンビニでトイレ借りてもそんなに買うものもなく、ヨーグルトドリンク、野菜ジュースなど、外食続きで足りなさそうな栄養補給に充てるところに落ち着きました。
 
⑤道
旧街道は道幅が広くなくて歩道もないところがかなり多く、一言でいうと「歩きにくい」です。
朝や夕方の時間帯は通行量が多くなり、車が肩をかすめていくことも5回ぐらいはありました。道が細いので対向車が来ないうちに少しでも進もうと、スピードを出す車が多くいます。

⑥宿
旅館や民宿より気を遣わずに済むので、宿は基本ビジネスホテルで探しました。
金曜、土曜にかかるとツインの部屋が取れにくくなったり、料金が上がったりするのですが、そんなに早めに予約することもできないので、難しい選択となります。だいたい2~3日先まで考えていました。
また、コインランドリーがあることも重要です。
着替えもたっぷりはありませんので3日に2度ほどはコインランドリーを使いました。

⑦レギュレーション 
以下の行程をご覧いただいたら、「けっこう交通機関使ってるやん」ってなると思います。
体力に合わせた歩行距離で次の宿場を決めるのですが、その辺りに宿自体がなかったり、お手頃な宿がなかったりして、朝夕に交通機関を使いました。
勝手な旅に守らなければならないレギュレーションなんかありません。
私たちの場合、ただ自分の納得するところとして、とにかく街道は漏らすことなく徒歩とすることにしました。
なので、歩き終わったところから翌日歩きだすところが同じであれば、それ以外は交通機関を使って美味しいものが食べれそうな街まで移動しました。

⑧体力
どちらも60歳の夫婦で、昔に多少登山はやっていたものの普段は完全に運動不足でした。
3カ月ぐらい前から、週に2~3回は重量負荷をかけて20km程度歩くトレーニングをして、何とかなるだろうと出発しました。
しかしながら、毎日歩くとトレーニングでは出なかった痛みが出てきました。
ただ、痛みは対処ができる程度だったので、ゴールすることができました。
おそらくですが、平均的に健康な60歳なら、同じような旅をすることはできると思います。

⑨留守中の自宅
郵便局に不在届を出しておくと30日間、郵便物は郵便局で預かってくれます。
ポストには「チラシ不要」のシールを貼りました。新聞はとっていませんでした。

 

⑩お金
最大は宿泊費です。平均して1日1万円ぐらいでした。

次に食費。まぁ所々の美味しいものを食べたいとほぼ毎日居酒屋に行ってました。

朝、昼と合わせると二人分で平均して1万円ぐらいの贅沢をしました。

その他細かな費用と交通費、必要なものの買い足しなどを合わせて、二人で50万円は軽く超えています。


最後に・・・
ゴールするまで、家(House)のことは全く頭から消えていた。
ゴールした翌日から、空き巣は大丈夫だろうか、一か月使わなかった給湯器はちゃんと動いてくれるだろうか、カムカムエブリバディはちゃんと録画できているだろうか、と色々気になりだしました。
玉手箱が開いた感じです。
それほど没頭していました。幸せな夢の中、まさに夢中でした。
Houseは放ってきたけど、Homeがずっと一緒だったからかもしれません。

【行程】
 1日目:京三条大橋~大津宿 (10.7km) *1
  宿泊:ホテル東横INN京都琵琶湖大津
 2日目:大津宿~草津宿~石部宿 (25km)
  宿泊:ABホテル湖南
 3日目:石部宿~水口宿~土山宿~山中一里塚 (約32km)
  宿泊:ホテル ルートイン第2亀山インター
  備考:夕>山中一里塚~ホテルまでタクシー5千円強
 4日目:山中一里塚~坂下関~関宿~亀山宿 (約17km)
  宿泊:ホテル ルートイン第2亀山インター
  備考:朝>ホテル~山中一里塚までタクシー
 5日目:亀山宿~庄野宿~石薬師宿 (13.2km)
  宿泊:ホテルキャッスルイン鈴鹿
 6日目:石薬師宿~四日市宿~桑名宿 (26.7km)
  宿泊:桑名グリーンホテル
 7日目:桑名宿~宮宿
  宿泊:ホテル京阪名古屋
  備考:夕>伝馬町駅~栄駅まで地下鉄利用
 8日目:休息日
 9日目:宮宿~鳴海宿~知立宿 (20.3km)
  宿泊:東横INN名鉄知立駅前
  備考:朝>栄駅~伝馬町駅まで地下鉄利用
10日目:知立宿~岡崎宿 (15.0km)
  宿泊:岡崎第一ホテル
11日目:岡崎宿~藤川宿~赤坂宿~御油宿 (20km)
  宿泊:コンフォートホテル豊川
  備考:夕>御油駅~諏訪町駅まで名鉄利用
12日目:御油宿~吉田宿 (11.9km)
  宿泊:プラザイン豊橋
  備考:朝>諏訪町駅~御油駅まで名鉄利用

13日目:吉田宿~二川宿~白須賀宿~新居宿 (22.8km)
  宿泊:くれたけイン浜名湖
  備考:夕>新居駅~湖西駅までJR利用
14日目:新居宿~舞阪宿~浜松宿 (17.1km)
  宿泊:くれたけイン浜松南口プレミアム
  備考:朝>湖西駅~新居駅までJR利用

15日目:浜松宿~見付宿~袋井宿~掛川宿 (31.5km)
  宿泊:ホテルリブマックス掛川駅前
16日目:掛川宿~日坂宿~金谷宿 (14.9km)
  宿泊:ホテルリブマックス掛川駅前
  備考:夕>金谷駅~掛川駅までJR利用
17日目:休息日
  宿泊:ホテルリブマックス掛川駅前
18日目:金谷宿~島田宿~藤枝宿 (14.6km)
  宿泊:フジエダオガワホテル
  備考:朝>掛川駅~金谷駅までJR利用
19日目:藤枝宿~岡部宿~丸子宿~府中宿 (21.5km)
  宿泊:静岡ホテルプレジオ静岡駅南
20日目:府中宿~江尻宿~興津宿~由比宿 (26.4km)
  宿泊:静岡ホテルプレジオ静岡駅南
  備考:夕>由比駅~静岡駅までJR利用
21日目:由比宿~蒲原宿~吉原宿 (16.2km)
  宿泊:くれたけインプレミアム沼津北口駅前)
  備考:朝>静岡駅~由比駅までJR利用
     夕>吉原駅~沼津駅までJR利用
22日目:吉原宿~原宿~沼津宿~三島宿 (24.5km)
  宿泊:くれたけインプレミアム沼津北口駅前
  備考:朝>沼津駅~吉原駅までJR利用
     夕>三島広小路駅~沼津駅までJR利用
23日目:三島宿~箱根宿 (14.9km)
  宿泊:ジェムスティーイン箱根芦ノ湖  
     朝>沼津駅~三島広小路駅までJR利用
24日目:箱根宿~小田原宿 (16.5km)
  宿泊:東横INN小田原駅東口
25日目:小田原宿~大磯宿~平塚宿 (21km)
  宿泊:ホテルリブマックス平塚駅前
26日目:平塚宿~藤沢宿~戸塚宿 (21.3km)
  宿泊:ホテルリブマックス平塚駅前
  備考:夕>戸塚駅~平塚駅までJR利用
27日目:戸塚宿~保土ヶ谷宿~神奈川宿~川崎宿 (23.3km)
  宿泊:ホテル縁道
  備考:朝>平塚駅~戸塚駅までJR利用
28日目:川崎宿~品川宿~江戸日本橋 (20.1km)

*1 距離は「ちゃんと歩ける東海道五十三次」の宿場間距離です。
 宿泊ホテルまでの移動距離や観光周遊の距離は含んでいません。