初春公演
国立文楽劇場
第2部 16:00開演
中央座席 10列目
面売り
近頃河原達引
四条河原の段
堀川猿廻しの段
壇浦兜軍記
阿古屋琴責の段
「近頃河原達引」
これまた歌舞伎で好きな演目。四条河原の段によって伝兵衛さんがなんで追われる身になったのかが分かって納得できる。猿廻しの段の「切」は住大夫さん。盆が回ると「住大夫!」と声がかかる。その声を聞いてなのか、姿を見てなのかよくわからないけれど、胸が熱くなって涙が出そうになる。ひときわ大きな拍手が劇場に響いた。住大夫さんどうかお元気で・・・。稽古娘おつると母のやりとり「鳥辺山心中」のところがとても気に入った。なんかおばあちゃんの感じがしみじみとしていて。永楽館での竹三郎さんも思い出す。
猿廻しの与次郎は玉女さん。ちょっとイメージと違う。(玉女さんてクールな感じだから)与次郎がおしゅんと伝兵衛を取り違えて、伝兵衛を家の中に入れてしまうところやお猿の仕草などで笑いもあるのは歌舞伎と同じ。「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん」のクドキもしっとりと。
ただ、与次郎は無筆だけど、臆病だけど決して阿呆ではないと思っている。だからか、愛之助さんの与次郎には泣いたけどこの日の与次郎には泣かなかった。
「お猿はめでたや、めでたやな・・・」という猿廻しの歌。イヤホンガイドではたしか、和歌山県に伝わる猿廻しの歌と言っていたような気がするのだが、文楽は忙しくて(人形見たり、床見たり、字幕も見たり)イヤホンガイドを聞きのがすことが多い^^;
「壇浦兜軍記」
圧巻のひとこと!(元々語彙が少ないのと文楽超初心者なので感動を表現する言葉が見つからない・・・トホホ)
第2部の席は、「床と舞台の両方が見え、なるべく床に近いところ」を基準に選んだ。
歌舞伎で現在上演できるのは玉三郎さんだけと聞く。役者が三曲すべてを演奏しなければならないから。以前南座で観たときの感動を思い出した。その時と同様の、いやそれ以上の感動だった。息をするのも忘れたように聞き入り、凝視した約1時間。
「阿古屋」では人形遣い三人ともが出遣いとなる。それがなぜなのかというのはイヤホンガイドでも説明なかったが^^;普段見られない左遣い、足遣いさんを見られて嬉しかった。勘十郎さんも簔助さんの左遣いをやって今があるんだなあと感慨に浸ったりして・・・。主遣いの勘十郎さんも阿古屋の豪華な衣装に対抗して(?)なかなか派手目のお衣裳で◎。人形に阿古屋の魂が宿っているように、本当に生きているようにしか見えない。傾城としての品格とか、哀しみとか、怒りとか・・・表情が感じられるのは何故なんだろう。
琴を弾く時は「琴手」三味線の時は「三味線手」というように、楽器を演奏するときはそれぞれの「手」を使うというのも(イヤホンガイドのおかげで)初めて知った。この演奏に心奪われる。もちろん舞台の人形は演奏するのではないのだが、演奏しているようにしか見えない。私の席からは床で三種の楽器を演奏する寛太郎さんがよく見えた(寛治さんのお孫さん)のだが、その手と人形の手がぴったりと合っているのだからすごい。ああ、すごいとしか言えない語彙の乏しさに落胆するばかり。
歌舞伎の岩永がどうだったか覚えていないけれど(愛之助さんだったのに)、この文楽の岩永は阿古屋の演奏に聞き入り、感動のあまり自分でもエアギターみたいなことをやっちゃうところがなんともよかった。
まだまだ文楽初心者なので分からないことだらけだけど、確実にファンになってきているのは事実。次に行けるのは4月「菅原伝授手習鑑」、待ち遠しいなあ。