仮名手本忠臣蔵 | むばたまの夜の衣を返してぞ着る

むばたまの夜の衣を返してぞ着る

~いとせめて恋しきときはむばたまの夜の衣を返してぞ着る~
平安時代の歌人小野小町の歌から。
愛しい人にどうしようもなく会いたくてしかたのないときは、
寝間着を裏返して寝るわ
(寝間着を裏返して寝ると恋しい人の夢を見ることができるという説があったそうで)

 

文楽 11月公演
通し狂言 

仮名手本忠臣蔵
国立文楽劇場
第一部 10時半開演
      中央座席 後方

第二部 七段目 幕見 
      左袖 幕見席

やっと、といおうか、ついにと言うべきか千穐楽の昨日、大序から七段目を観てきた。生の文楽を観るのは(聴くのは)まだ2回目の超初心者なので、退屈して爆睡したりしないか・・・と少々心配していた(^^)何度か意識が遠のいた瞬間はあったものの、5時起きの割には元気に鑑賞できたと思う。

今回第一部だけチケットを取っていた。でも、やはり七段目ははずせないと思い、幕見にチャレンジしてみた。9時20分文楽劇場着。その時点で並んでいるのは私の目に6人。30分予定より早くドアが開く。私ともう一人以外は当日券目当てのお客さんだったので楽に幕見席を手に入れることができた。歌舞伎でも幕見の経験はないので初幕見!後方とはいえ非常に見やすい席だった。これで1,000円とは感激。

 
初心者的チェック:その1
大序でまず「あれ?床に大夫さんがいない」「あ、上の御簾の中から?」
後でパンフレットの「鑑賞ガイド」を読み、若手の大夫・三味線の方が交代で演奏するということを知る。いちいちこんな調子でわかっていないことが多すぎる(笑)(イヤホンガイドを借りればいいのかもしれないが、浄瑠璃を聴いていたい気持ちがあるし・・・)

初心者的チェック:その2
もっとも驚いたのは、七段目。それぞれの登場人物に一人ずつ大夫さんがいるではないか!なんといっても、寺岡平右衛門の大夫さん(英大夫さん)の位置にびっくり。舞台下手に落語の高座みたいのがあって座布団が置いてある。そこが定位置~?これも後でパンフを読んで学習。歌舞伎を意識した演出なのかふーんなるほど(*^^)v

初心者的チェック:その3
平右衛門の着物と勘十郎さんの袴、同じ柄だ!へえ~と思ってよくみたら、英大夫さんの肩衣も同じ柄だった。いやあなんだかお洒落(*^^)vおかるを遣う蓑助さんの袴と呂勢大夫さんの肩衣もペア?(同じような色の麻の葉模様だけど蓑助さんのは柄が細かい)

初心者的チェック:その4
台詞ない時も演技しているんだ!って人形のいろんなところでの表情が、驚くほど生き生きしていることに今回初めて気が付いた。たとえば、判官切腹のあと部屋を出てゆく家臣たちの去り方とか、一文字屋才兵衛がおかるを待っているときの風情とか・・・。(一文字屋といえば、歌舞伎では女主人お才になっていたなあ)

七段目以外では、歌舞伎でも好きなのは「城明渡しの段」。館を去る由良助の無念な思いと寂しさが胸に響いてくる。大道具があおり返しで遠景になっていくのも、三味線も好き。
そしてそして・・・今回いきなり好きになってしまったのは、吉田蓑助さんなのだった。いやあ人間国宝をつかまえて「ファンになった」なんて畏れ多いのだけれど。蓑助さんのおかるが生きていたから・・・。何だかうまく言えないけれど、もう人形じゃなかったっていうか、とにかく七段目のおかるから目が離せなくなってしまった。平右衛門の勘十郎さんも好き。(勘十郎さんは初めて観たときから釘づけだけど♪)

こうなったら、一月の初春文楽公演に行くしかない…という気がしてきた。本を読んで早く生のお声が聴きたい住大夫さんもご出演と聞くし。

浅草へは行かないので(理由はご想像ください♪)薪車さんの出る松竹座に行こうかと思っていたのだが、なんばを素通りして日本橋へ行ってしまいそうな楽しい予感(笑)