いろはにほへと ちりぬるを
嫁というひとは、
奥行きの深いひとだ。
すぐには分からせてくれないのは、
承知の上。
わかっていたこと。
少女のようで、
赤子のようで、
すごく大人でもある。
紫の上のようで、
六条御息所でもあり、
明石の上のようでもある。
不思議な魅力。
4年前に初めて会ったとき、
その眉目秀麗のみならず、
向こうが見えそうな透明感に心ひかれた。
はんなりとした柔らかさの向こうに、
凛とした芯が見えた。
憧れに近い気持ちだった。
それが今、なんとなんと
なんの気まぐれか、
うちの嫁になってくれるそうだ。
嫁は気まぐれだ。
だから嫁に来てくれるのも、
気まぐれなのかもしれない。
風のように来て、
風のように去ってしまうのかもしれない。
そんな風にも思う。
けれど、それでも嫁は、
とにもかくにも、
嫁に来てくれるのだ。
なぜ私を選んでくれたんだろうと、
その心の奥をのぞきたい気持ちになることもある。
そして分かるのは、
嫁の心の奥には、
生命あふるるジャングルや、
豊穣の海もあるが、
寂寞とした砂漠もあるということだ。
そして嫁は、寂寞とした砂漠だけは、
私と、いや誰とも、共有はしないということだ。
そこへ落ちる太陽が映し出す、
きっとこの世のものとも思えぬ美しい夕日は、
そしてそこから始まる夕闇は、
誰のものでもない、彼女だけのものなのだ。
そのことしか、まだいまは分からない。
多分、嫁はその寂しさをも楽しんでいるから、
べつにそれを他者と共有したい、と思っていない。
だから私にも、見せてくれない。
きっと、永遠に、見せてはくれないだろう。
だから嫁は、きっと、
年を経ても、いつまでも魅力的なのだ、と思う。
いつまでも、尽きることのないファンタジーが、
その少女のような心の中で、いつまでも輝いているのだろう。
だけれども、ヒリヒリと何かが燃えるその残骸を、
癒せる木漏れ日がきっと、
私の中にあるのだろう。
私の中の孤独をきっと、
嫁は見つけてくれたのだ。
嫁の心の中にある孤独が、
それを見つけてくれたのだ。
そっと。
手をさしのばしに来てくれたのだろう。
あさきゆめみし ゑいもせず
嫁というひとは、
奥行きの深いひとだ。
すぐには分からせてくれないのは、
承知の上。
わかっていたこと。
少女のようで、
赤子のようで、
すごく大人でもある。
紫の上のようで、
六条御息所でもあり、
明石の上のようでもある。
不思議な魅力。
4年前に初めて会ったとき、
その眉目秀麗のみならず、
向こうが見えそうな透明感に心ひかれた。
はんなりとした柔らかさの向こうに、
凛とした芯が見えた。
憧れに近い気持ちだった。
それが今、なんとなんと
なんの気まぐれか、
うちの嫁になってくれるそうだ。
嫁は気まぐれだ。
だから嫁に来てくれるのも、
気まぐれなのかもしれない。
風のように来て、
風のように去ってしまうのかもしれない。
そんな風にも思う。
けれど、それでも嫁は、
とにもかくにも、
嫁に来てくれるのだ。
なぜ私を選んでくれたんだろうと、
その心の奥をのぞきたい気持ちになることもある。
そして分かるのは、
嫁の心の奥には、
生命あふるるジャングルや、
豊穣の海もあるが、
寂寞とした砂漠もあるということだ。
そして嫁は、寂寞とした砂漠だけは、
私と、いや誰とも、共有はしないということだ。
そこへ落ちる太陽が映し出す、
きっとこの世のものとも思えぬ美しい夕日は、
そしてそこから始まる夕闇は、
誰のものでもない、彼女だけのものなのだ。
そのことしか、まだいまは分からない。
多分、嫁はその寂しさをも楽しんでいるから、
べつにそれを他者と共有したい、と思っていない。
だから私にも、見せてくれない。
きっと、永遠に、見せてはくれないだろう。
だから嫁は、きっと、
年を経ても、いつまでも魅力的なのだ、と思う。
いつまでも、尽きることのないファンタジーが、
その少女のような心の中で、いつまでも輝いているのだろう。
だけれども、ヒリヒリと何かが燃えるその残骸を、
癒せる木漏れ日がきっと、
私の中にあるのだろう。
私の中の孤独をきっと、
嫁は見つけてくれたのだ。
嫁の心の中にある孤独が、
それを見つけてくれたのだ。
そっと。
手をさしのばしに来てくれたのだろう。
あさきゆめみし ゑいもせず