明日香さんのお母さんからメッセージ
皆様、こんばんは。
これまでに、明日香さんの突然の死、そこから学んだ教訓、取り組みについて紹介してきましたが(http://ameblo.jp/push-project/entry-11368136662.html
)、
明日香さんのお母さんからメッセージをいただきました。
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桐田 明日香の母親の桐田 寿子です。
昨年の9月29日、駅伝の選考会で1000メートルを走り切った直後に、明日香は心肺停止状態になり救急隊接触までの約11分間、AEDを含む救命の処置はされませんでした。それでも、救急隊、救急病院での救命の連鎖は一秒を争うほど鮮やかなものであり、その結果、私達は明日香にICUの中で会うことが出来ました。翌日、多臓器不全・脳浮腫の進行が進み、生命の維持が困難になっても、明日香は、祖母の歌う歌に心拍を安定させたりして懸命に答えてくれました。夜になり心拍が止まりかけた時、私は胸骨圧迫を、とっさに行いました。それは、救命の目的でなく、明日香と一緒に生きる時間を一秒でも重ねたい思いからでした。主人と2人、懸命に明日香の胸を交代で押し続けました。口から血を吹き始めた明日香の胸を押し続けるのは辛いため、19時過ぎの親戚の到着後、私は手を止めました。私の兄が、岡山から到着するのが、21時頃だったので、明日香に「おじさんには、明日香が頑張ったことを伝えるから・・もう休んでいいよ」と伝えた後、看護師さんに「会いたい人には会わせられたので、確認をお願いします」と声をかけると、「あの、心臓が動きはじめましたよ」との返答にモニターを見ました。胸骨圧迫で動かされた心臓が、もう一度、自分の力で動きはじめたのです。兄が到着する予定時刻の21時を過ぎると、心拍が急激に落ちはじめた為、最後は、主人と私で胸骨圧迫をしながら、兄の到着を待ちました。兄が到着して明日香にお別れを伝えた後、静かに手を止めました。9月30日21時48分、明日香は永遠の眠りにつきました。
真夜中のICUの暗い長椅子に座り主人と話し合いました。その時、「明日香が願うことは何なんだろう・・?」と考えました。誰かの責任を追及するのでなく、明日香は、「大好きな、お友達を守りたい」と思っていると感じました。最後の一秒まで精一杯生き抜いてくれた明日香のメッセージに応えていくことが、残された私達遺族の役割だと思い、このような悲しいことは起こしてはいけないと明日香と一緒に誓いました。
今回の明日香の事故の背景には多くの問題点があります。AEDが学校にあったのに使用されなかったこと。目の前で倒れ、けいれん発作・苦しそうな呼吸をしていたこと・声がけに反応しなかったことなどいくつものSOSサインが出されていたにも関わらず、救命の行動が何一つされなかったこと。6月に救命の講習を教員全員が受けていたにも関わらず救命の行動につながらなかったこと。指令センターによる現場の状況の聞き出しが充分にされていなかったこと・・などがあげられます。心停止の事故は、一分一秒単位での救命の行動が予後を大きく変えていきます。
今回の明日香の事故の課題をどうしたら、生かせるのか?という視点で、さいたま市教育委員会と話し合い、学校現場で初めての事故分析を行いました。その事故分析の中で、対応策の一つとして抽出されたのが、ASUKAモデルという愛称を持つテキストになります。私達遺族は、ASUKAモデルが学校で活用され、一番大切な救命の連鎖の初期の対応がとれることにより、尊い命が一人でも救われることを切に願っています。ASUKAモデルは、一周忌である9月30日にさいたま市を含む全国へ発信されました。このASUKAモデルは、現場で活用されなくては意味がありません。そのために現場で使用して問題点があれば、その意見を取り入れて改訂していきたいと考えています。ガイドラインの改定があっても同様です。明日香の「みんなを守りたい」という願いは、ASUKAモデルとなってこれからも、成長し続けます。
そのような想いの中、PUSHプロジェクトとの出会いがありました。同じ悲しみを経験した遺族がつながることで、語りあえることがあります。プロジェクトの副委員長である前重さんとは、メールで交流をさせて頂いていますが、交わされる言葉一つ一つが心に届き、不安で揺れる私の心を支えてくれました。そして、「このようなことを繰り返してはいけない」という想いを共感することで、次への一歩を踏み出す勇気につながりました。そのような中、先月、東京のPUSH指導者養成講習で松田真紀さんとの出会いがありました。お互いに、同年代であり同じ仕事をしている共通点があります。何より、お互いに惹かれ合う何かを感じました。別れる時に「直樹と明日香ちゃんが、私達を引き合わせてくれたんだね。そして、私達を2人で見守っているよね」という言葉が、お互いの言葉で自然に出ました。遺族は、深い悲しみを背負うことで、一人では何もできないかもしれません。でも、こうして、PUSHプロジェクトの活動の中で、出会った真紀さんと私は、自分達でしか伝えられないメッセージと共に、救命の活動の輪を広げていくことができるかもしれません。その場にいるあなたにしか出来ない勇気と行動が尊い命を救う力になることを、PUSHプロジェクトの活動を通して全国に発信していけるように、これからも、明日香と一緒に協力していきたいと思います。
平成24年10月 桐田 寿子
桐田さん、貴重なメッセージをありがとうございました。
前重副委員長、松田直樹さんのお姉さんをはじめ、突然死で大切なご家族を亡くされた方々からのメッセージは、多くの人に突然死を身近に感じてもらい、PUSHプロジェクトの意義を知ってもらうためにとても大切だと思っています。
皆様、ぜひ、このメッセージを受け止めて、多くの方にお伝えください。
そして、ASUKAモデル、PUSHプロジェクトを一緒に広げていきましょう。
委員長 石見
PUSHコース(東京会場)開催のご案内
「PUSHコース」が東京にて開催されます。
関東近郊の方、ぜひともご参加をお待ちしています。
【とき】11月17日(土曜) 15:00~15:50
【場所】フクダ電子株式会社本郷事業所(東京都文京区本郷2-35-8)
詳細、申込はこちらをご覧下さい。
http://osakalifesupport.jp/association/join.html#201211
=大阪ライフサポート協会(PUSHプロジェクト)=
ウツタイン大阪プロジェクト
ウツタイン大阪プロジェクトの紹介です。
今、心臓突然死はどのくらい発生し、どのくらい助かっているのか?病院外での救命救急活動の記録・検証を行うことで、救命率の向上を目指す大阪が世界に誇るプロジェクトです。
大阪では、1998年5月1日により人口約880万人の府下全域にわたって、救急隊が関わった病院外心停止患者に対しての蘇生処置記録をこの様式(一部大阪版にアレンジしている)に従い、現在進行形でデータの収集・解析を行い救命率 の向上、疫学研究等に役立てている。
ちなみにウツタインの語源は ノルウェーの小さな島にある史跡ウツタイン修道院に集まって国際蘇生会議を開いて、用語や記録内容に関するガイドラインを作成した。ことからだそうです。
PUSHプロジェクト 副委員長 前重 壽郎
