イスラエルが去年10月の襲撃事件を事前に察知していながら防ぎきれなかったのは、防ごうとしたわけではなく、ハマスを泳がせてガザ侵攻のきっかけを作ることにあったと勘ぐっている。

イスラエルの魂胆は、10月の襲撃事件の年に5月にすでに出来上がっていたと考えられる。その根拠となる記事は、以下のもの。

●『イスラエル大統領、ガザ地区のガス開発を容認、安全保障の確保を求める』
19 Jun 2023 03:06:24 GMT9
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_93576/

イスラエルのネタニヤフの目論見は、ハマスの襲撃をイスラエル当局の失態に見せかけて襲撃事件を利用してガザに侵攻し、ガザ沖のガス田の「安全保障」を確立することだと思っている。

ガザ沖のガス田をイスラエルが確保するのは、ガスをイスラエル国内にパイプラインで輸送し、アカバ湾の輸出港からガスを輸出することにあると勘ぐっている。

そのためにイスラエル軍は、ガザ内に道路を建設した。

●ガザを南北に二分するイスラエルの道路、地中海に到達　衛星画像分析
2024.03.09 Sat posted at 17:28 JST

ガザを南北に二分するイスラエルの道路、地中海に到達　衛星画像分析イスラエル軍が建設中のパレスチナ自治区ガザ地区を南北に二分する道路が地中海岸に到達したことが、ＣＮＮによる衛星画像の分析で明らかになった。イスラエルの当局者によると、今後数カ月、場合によっては数年にわたってガザを管理する治安計画の一環だという。

www.cnn.co.jp

地図上で確認するとイスラエル国内の内陸にあるベエルシェヴァに通じる道路のように見える。

ベエルシェヴァにはパイプラインが通り、アカバ湾に通じている。

ネタニヤフの魂胆は、ガザ沖のガスをガザとイスラエルに振り分けて一部をアカバ湾から輸出しようと考えていると思われる。

なお、イスラエルのネタニヤフがガザ沖のガス田の安全保障についてハマスとかかわっている点は、次の記事からもわかる。

●『イスラエル・ハマース衝突が石油・天然ガス情勢に与える影響』
2023/11/07　豊田　耕平

イスラエル・ハマース衝突が石油・天然ガス情勢に与える影響JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト

oilgas-info.jogmec.go.jp

記事では、ガザ沖のガス田を含めてガス田の所在が分かる地図を掲載している。

地図からわかることは、イスラエルが目論んでいるのは、ガザ沖のガス田からパイプラインをガザを通してイスラエル国内に通し、アカバ湾まで建設するものだと考えられる。

イスラエルのネタニヤフがハマスをガス田開発の安全保障上の脅威とみなしてガザからハマスを壊滅するという目論見は、上記の記事からもわかるだろう。

記事が出たのは、去年10月以前の前年の11月だから、ネタニヤフがハマスを考慮してガザ沖のガス田開発の安全保障「策」を考えるのは当然だろう。

それゆえ、ネタニヤフは、軍や諜報機関からのハマスの襲撃計画を事前に知っていながらハマスを泳がせたと考えるのはごく自然だと思える。

それに戦争のさなか、イスラエル軍にガザ内に道路建設までやらせた。

戦争中に道路建設！？

そういうわけでネタニヤフはこの戦争を去年10月の襲撃前に計画してやっていると考えられるのである。

当然だが、ハマス亡き後のガザの統治が大問題になる。

その統治からヨルダン川西岸のパレスチナ自治政府を排除しているのは当然だろう。

ガザもヨルダン川西岸のようにイスラエルが「管理」するはずだ。

ハマスとの停戦交渉だが、ハマスが同意したと。しかし、ラファ侵攻予定はそのままだと。

●ハマス、休戦案同意を発表イスラエル側はなおラファ侵攻の構え
2024年5月7日 10:24

ハマス、休戦案同意を発表イスラエル側はなおラファ侵攻の構え【5月7日 AFP】イスラム組織ハマス（Hamas）は6日、パレスチナ自治区ガザ地区（Gaza Strip）での7か月に及ぶイスラエルとの戦闘について、最高指導者イスマイル・ハニヤ（Ismail Haniyeh）氏が仲介役を務めるカタールとエジプトに対し、「両国の戦闘休止案に同意する」と伝えたと発表した。

www.afpbb.com

ハマスの発表ーーー

「イスラム組織ハマス（Hamas）は6日、パレスチナ自治区ガザ地区（Gaza Strip）での7か月に及ぶイスラエルとの戦闘について、最高指導者イスマイル・ハニヤ（Ismail Haniyeh）氏が仲介役を務めるカタールとエジプトに対し、「両国の戦闘休止案に同意する」と伝えたと発表した。」

イスラエルの反応ーーー

「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ（Benjamin Netanyahu）首相側は、ハマス側の回答は「イスラエルの要求と懸け離れている」としながらも、政府は「合意の可能性を追求するため」交渉担当者を派遣すると表明した。」

ここで注意点！

イスラエルの停戦案とは、協議のための一時戦闘休止とその後の恒久的な停戦協議だから、協議の場でイスラエルがハマスに恒久停戦するには、「ガザから出ていけ」を言うだろうことだ。

ハマスが了承するとは思えないが。

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イスラエルの魂胆（道路建設+ガス田＝ガス輸出）