◇ゼレンスキーとプーチンの駆け引き
トランプの登場から始まったウクライナ戦争の停戦騒ぎは、根本的な問題が5月11日に露呈した。
トランプが進めようとしていた停戦の開始は、ゼレンスキーとプーチンとが互いに異なった停戦の仕組みを進めていたため、歯車ががっちりとかみ合わないものになっている。
その根本原因を助長しているのがイギリスとフランスなどのNATO加盟国である。
例えば、5月12日からのウクライナによる一方的な停戦の開始にロシアが従わなかったなら協力で大規模な制裁を科すと言い出したのがそれを示す。
●プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンスキー氏は停戦同調求める
ゼレンスキーなどーーー
「ウクライナのゼレンスキー大統領は提案を「前向きな兆候」と評価し協議に応じる姿勢を示す一方で、ロシアに12日からの停戦への同意を求めた。」
・・・・・・
「ウクライナと英、仏、独、ポーランドの首脳は10日、12日から無条件の30日の停戦で合意し、トランプ米大統領も同意した。ロシアに対し、停戦に違反すれば「大規模な」追加制裁を科すと警告した。」
ウクライナの12日からの30日間の停戦にロシアが従わないなら制裁を行うことを言っているのは、「ウクライナと英、仏、独、ポーランドの首脳」である。
トランプは、その声明を支持するといったらしい。
●欧州首脳がウクライナ訪問、ロシアに30日間の停戦要求 拒否なら「大規模制裁」
「・・・・停戦を拒否すれば「大規模な」制裁を実施すると警告した。こうした要求は、トランプ米大統領との電話会談後、米国からの支持を得たとしている。」
ヨーロッパ各国のロシアに対する敵対的な考え方は、例えていうなら、俺たちが停戦を要求したらロシアはそれに従え、というものだ。
ロシアは、ウクライナとは異なった停戦の仕組みを主張している。以下の記事がそれを示す。
●МИД России жестко ответил на ультиматум Зеленского после предложения Путина
「グーグル翻訳ーーーロシア外務省、プーチン大統領の提案を受けたゼレンスキー大統領の最後通牒に厳しく反応 」
「ザハロワ:プーチン大統領はまず交渉を行い、その後停戦を行うべきだと述べた」
「プーチン大統領は、まず(ウクライナ紛争の)根本原因について話し合い、その後停戦について話し合うことができると明確に述べた 」
ゼレンスキーとヨーロッパ各国は異なる。
まず停戦し、のちに停戦順守を確認し(この部分は、確認のための第三者機関が必要になるが)そのあと停戦交渉の下地が出来上がったとみなす。
停戦交渉そのものは、下地ができた後にウクライナとロシアが同意のうえで行うものという意味になる。
しかも以前からヨーロッパ各国は、停戦中の平和維持軍の必要性を主張していた。
アメリカはそれに乗り気ではなかったから、イギリスとかフランスが平和維持軍に名乗り出ていた。
つまり、ゼレンスキーの主張する30日間の停戦とは、停戦期間中にイギリスなどの平和維持軍をウクライナに駐留させることを予定していることだ。
事は簡単なことで、ロシアとウクライナの停戦交渉というのは、占領地の領土問題などもあるから交渉妥結する余地がないに等しい。
つまり、ゼレンスキーは、イギリスなどの平和維持軍をウクライナに駐留させ、戦争自体は、停戦ラインを設けて、第二のミンスク合意のような停戦状態に入り、後は、停戦ラインでの小競り合いを起こしてロシアがウクライナに侵攻を再開した時にイギリスなどの平和維持軍をロシアとの戦争に参戦させた状態にできるから、小規模な第三次世界大戦のようになり、ウクライナは、その機会を逃さず、占領地の奪還を目指せる。
とまあ、そんな目論見を隠し持っているためか、停戦中の停戦監視についての具体的なものは、ほんの少しだけ出ている。
●ウクライナと欧州、12日から30日の対ロ停戦で合意 トランプ氏も同意
「マクロン仏大統領は、停戦が実現すれば、主に米国が監視し、欧州諸国も貢献するだろうと述べた。」
アメリカが停戦を監視するには、それ相応の軍隊をウクライナに配置する必要がある。マクロンの奴は、口先で言いたいことを言っている感じでしゃべったらしいが、それがゼレンスキーの目論むウクライナにNATO諸国の安全保障の具体例である。
◇そもそも停戦の位置づけがロシアに対して欧米は異なっている
ヨーロッパやウクライナは、停戦開始の後に(期限は30日間なら30日間)ウクライナとロシアの直接的な停戦交渉を始める。
ロシアは、交渉で停戦開始を交渉し、合意後に停戦を開始する。
少なくとも、トランプの場合、戦争をやめさせるだけのキャッチフレーズだけだが。
停戦交渉は、停戦後に行うか、停戦前に行うかは、トランプの提案するものにない。だから、トランプがプーチン政権と交渉した時に経済制裁の緩和などのおいしい呼び餌をロシアにリップサービスしたわけである。
ゼレンスキーが停戦の後に交渉があるべきだと主張するのは、ロシアと交渉しても合意することはないから、停戦の目的が将来的なロシアの再侵攻があるものと考えて、停戦中にウクライナに軍事支援する国の軍隊をウクライナ国内に駐留させ、ロシアの再侵攻で占領された領土を奪還することにある。
◇停戦を先に行うポイント
ロシアとウクライナが停戦協議しても合意できるものは、停戦するだけしかないと読めれば、残りの問題は、終戦に必要な国境線の画定の代わりに停戦ラインが敷かれ、ロシアが再侵攻さえすれば、ウクライナはイギリスやフランス軍をロシアとの戦争に参戦させることが可能になることである。
そのため、停戦を先に行い、ロシアが停戦を開始してからできるだけ早く、停戦監視にアメリカやイギリス、フランスなどの軍隊をウクライナ国内に配備し、それからでも停戦交渉の開始をズラしても差し支えないことである。
ポイントは、ウクライナがロシアと停戦交渉を始めても、ロシアと合意できるものは、停戦を継続することだけで、ウクライナなどの要請で停戦監視軍をウクライナに配備するのは、ロシアの合意を必要と考えていないのである。
ゼレンスキーなどの思惑が成功するかは、強力な制裁を行うと警告したものが功を奏し、ロシアが30日間の停戦に合意することなく停戦を始めればいいのである。
もっとも、ウクライナの30日間の停戦開始中にロシアが戦争を続けていても、停戦監視団を無理やりウクライナに進駐させることも可能かもしれない。
あと1週間くらいでロシアの立場が鮮明になるだろうから、5月12日の停戦開始は、ロシアの攻撃継続ですぐに制裁発動になるだろうから、停戦開始の一方的なパフォーマンスにしないように何とかして停戦監視軍をウクライナに進駐させようとするのではないかな?
============================
パケベックのハンドルネームで以下のブログをやっている。
コメントは、https://ameblo.jp/push-gci/のブログだけで対応することにした。
2019年10月10日。
ameba
https://ameblo.jp/push-gci/
fc2
http://keyhole276p3mhz.blog75.fc2.com/
livedoor
http://blog.livedoor.jp/push_gci/
ameba
https://ameblo.jp/papa-quebeck/
goo
http://blog.goo.ne.jp/push-gci
jugem
http://papa-quebeck.jugem.jp/
cocolog
http://papa-quebeck.cocolog-nifty.com/blog/
hatena
https://papaquebeck.hatenablog.com/