沢木耕太郎著 深夜特急6(新潮文庫)

       南ヨーロッパ・ロンドン


2024年1月9日 最終巻

ただの観光地案内ではなく

まだ貧しく不便だった時代の旅行記。

言葉の選び方がとても良い。

私は、映画より小説で読むほうが好きだ。

読んでいるうちに、人物像や風景が少しずつ

固まっていき、自分の中で完成される。

映画化されると、ズレが気になる方だ。

深夜特急は、説明調にならない文章なのに

その場所が浮かんでくる(そう、浮かんでくる感じ)

作者が旅をした風景と同じ時、場所でないと

いけないのではないかとさえ思う


数年前にドラマ化?されたようだ

好きな俳優さんだったので、これは見てみたくなった


私は作者より少しばかり年下だが

私が思うアジアのイメージはこの頃だ。

鷹揚さや図々しさ、お金に対する執着

不衛生、粗雑…だけど、どこかに必ず

少しだけ押し付けない優しさがある。

それは日本が少しばかり豊かになったから

忘れていただけであり、どこの国も必死に

生きている。

お金を使わない旅だからこそ分かるのだろう。


旅行に行かないから分からないが、

TVで見るアジアにもうこの頃の姿はないのかも

しれない。


修学旅行の感想文で3枚ほどの原稿用紙を

埋めることすら大変だった自分には

こんな旅行記はとても書けないが、

このような人生をかけたような旅をしたならば

書いてみたい気持ちになるのかもしれない。