「僕とシッポと神楽坂」最終話
認知症の柴犬、タロウの話。
私の大切な子。寧寧は、本当に良い子だった。
目も見えず、耳も聞こえなくなって、認知症も患いながら、決して吠えたりしなかった。
ひんひん泣いて、ひとりで動けないから泣くことはあったけれど。
私は最後の2年間、本当に寧寧に対して、思いやりを持てなかった。子犬の頃から、本当にお利口さんで、待て、ダメ、良し、きちんと出来てて、言うことをちゃんと聞ける子だったのに……
夜中、何度も起こされて、睡眠不足で仕事へ行くことや、動きたがるので、ぐるぐる回るのを支えるのに腰を痛めたり……。そのうち、手製の車椅子を作って乗せる事により、随分と楽になったけど……、
他に、デイモン君、星、天、七、夕ちゃんと5匹のニャンズの方が優先となり、泣けば車椅子、朝晩のご飯、オムツを替える……最低限しか相手にもしてなかった……
何度も早く亡くなった方が、寧寧にとっても楽で幸せなんではないか。野生では、自然に任せて死んでしまうのに、ただ、ただ、長生きさせてるのは、果たして寧寧は幸せなのかと考えることも。でも、出来ることがあるのに放棄する事は、寧寧を見捨てる事…そんな事…いつも考えてた。
最後の夜、もう自分で体を起こす事も出来なくなって、自分から食事を口にする事が出来なくなって……
夜中、栄養ドリンクを少しずつ飲ませて、そっと抱きしめてから、寝かせた。
それが、最後だった……
目覚めた時、もう、呼吸してる筈の身体は動いてなかった。
触ると、まだ暖かかった。
例え、認知症になっても、例え旅立っていっても、一緒に過ごした楽しかった思い出はいつまでも残ります…………
ドラマのその言葉に、ドッと涙が溢れてきて、声も溢れて、あれからもう一年過ぎたと言うのに、ボロボロ涙が止まらなかった。声を出して泣いた。本当に、ごめんね、ごめんねと、後悔ばかり。もっともっと最後まで何で抱きしめて、声をかけてやらなかったのか。
あんなに私のことを愛してくれてたのに。
愛してるよ、とても大切な寧寧。いつまでもいつまでも、わたしの大切な子。
逢いたくてたまらない。ギュッと抱きしめたいよ。仕事から帰ると、真っ先にオモチャ咥えながらいつも迎えにきてくれてた。
逢いたいよ
ごめんね
逢いたい……





