EV普及に立ちふさがる「電池切れ」の壁  2024/01/11 | プルサンの部屋(経済・世界情勢・株・通貨などを語るブログ)

EV充電ステーション不足でなかなか日本ではEV自動車が普及できない状況。
だが、EV車が増えてきてる現状で問題発生。
国土交通省がインフラを整備する責任はあるのですが、なかなかですね。


EV普及に立ちふさがる「電池切れ」の壁 その後の“けん引”でも課題山積、JAFも対応に大苦労か
ドイツで被害年間20万件も
「猫バンバン」に代表されるように、自動車のエンジンルームに小動物が入り込むのは日常的に経験するトラブルだろう。何を隠そう、筆者(ネルソン三浦、フリーライター)も、出かけようとエンジンをかけたときに猫の鳴き声に気づいたことがある。

すると、エンジンルームから5匹の子猫が出てきたのには驚いた。実は、自動車のエンジンルームに入ってくるのは猫だけではない。ドイツでは、“テン”による自動車のケーブル損傷トラブルがかなりの頻度で発生しているのだ。

ドイツ保険協会(GDV)の報告によると、テンによるトラブルが毎年20万件以上発生しており、被害額に換算すると約9000万ユーロ(約140億円)となるという。
テンはイタチ科の小動物で、イタチより大きくかつハクビシンより小さい。雄で、頭胴長約45cm、尾長約25cm、体重約1.5kgとありそこそこ大きいように思える。国内では、本州、四国、九州、淡路島、対馬、佐渡島のほか、近年では北海道でも分布が広がっているという。
 日本では、鉄道の信号ケーブルの損傷トラブルや、屋内配線をかじられたことによる火災が時折報道されていて、ネズミなど小動物が犯人とされている。

ニュースとなるような大きな事故とはならないものの、実は自動車についてもかなりの数の被害が発生しているのかもしれない。

 実のところ、テンはガソリン車、電気自動車(EV)どちらにも被害を及ぼしているが、ただEVの場合、修理費が高額になる傾向があると、GDVは注意喚起している。

車種やかじられたケーブルの種類によっては、修理不可となる場合や修理費が数十万円にのぼる場合もあるという。
テンにとっては、今からかじろうとするケーブルの修理費が安いかどうかわからない(そもそもEVのケーブルかどうかもわかっていないだろう)ので、車両の下部をふさいで入れなくするか、車庫があるならば、なかに入ってこないようにするなどの対策がドイツでは求められている。

EV電欠の対処方法とは
EVの話題が出たので、EVにまつわる素朴な疑問について話をしよう。

年末年始やお盆、GWといった大渋滞発生時期の風物詩ともいえるのがガス欠だ。渋滞にはまりながら夜通し走っていると、路側帯にガス欠らしき自動車が止まっているのを1、2台みかけた。
EVの駆動用バッテリー上がりは、ガス欠ならぬ電欠という。では、電欠したらどうすればよいのだろうか――と聞いてみても、ガソリン車と同様、日本自動車連盟(JAF)などのレスキューサービス要請の一択だろう。しかし、到着後が、EVとガソリン車で若干異なる。
ガソリン車の場合、必要最低限の給油でおしまいだが、EVは最寄りの充電ステーションに搬送で対応となる。今のところEVと縁のない筆者は、急速充電チャージャーを搭載したサービスカーが、走り回っているのかと思っていたがそうではないらしい。
JAFですら、2023年8月からEV充電サービスの試験運用を開始したばかりである。このほか、出張充電サービスも始まっているが、あくまでも実証実験段階にすぎない。
EVがあまり普及していない現時点においては、車両価格やランニングコストに難があり、本格的な電欠時の充電サービス開始はこれからといったところだろうか。

EVはけん引できないのか
EVが電欠したとき、最寄りの充電ステーションまで搬送するといっても、実はEVはけん引できないという。正確には4輪を接地、あるいは駆動輪(モーターのある車輪)を接地させてのけん引は禁止されている。
というのも、モーターのある車輪を接地させたままけん引すると、モーターが回転して電気が発生し、機器の損傷や漏電による火災につながる可能性がある。
減速時にモーターを回転させて充電していることを思えばあたりまえのことであるが、車輪にモーターが付いているという点では、今まで気づかなかったがハイブリッド車(HV)も同じである。
 以前お世話になったレッカー業者の話では、HVの黎明期に後輪接地でけん引して自動車を損傷させてしまい、100万円単位の賠償をしたそうだ。
以降、どのような自動車でも4輪を浮かせてけん引するようにしたという。
EVに限らず現代の自動車は、車種に関係なく4輪を浮かせてけん引するのが確実なのかもしれない。

EVトラブルの行方とは

JAFによる「JAFロードサービスからみた電動車の対応」によると、
2020年度のEVのロードサービスの上位3件は以下のとおりだった。
・タイヤのパンク・バーストなど:1691件(29.1%)
・過放電バッテリー:1329件(22.9%)
・EV車の駆動用電池切れ:573件(9.9%)

電欠は3位にランクインしているものの、2016年度の17.8%からすると減少傾向にあるという。ユーザー側の新しい自動車であるEVへ慣れも関わっているのではないだろうか。これからますますEVが普及するに連れて、
・EVに不慣れなことに起因するトラブル
・ガソリン車にはなかったトラブル
が顕在化してくるのかもしれない。
また、JAFは
「車種により高電圧配線の配置が異なるため、対応の度に事前調査や対応資機材の準備が必要」
としている。
EVはまだ黎明期であり、メーカーあるいはモデルごとにさまざまな仕様や技術が乱立している状態だ。どのような車種のトラブルに対応すべく努めているJAFやロードサービスの苦労は計り知れない。