前日に、夫から本日の血液検査をどうしても断ってくれと頼まれたので、事前に電話連絡して、採血はなしにしてもらっていた。
待ち時間なく診察室に呼ばれた。扉を開けて、車椅子を押して中に入るのを先生も立ち上がって手伝ってくれた。
様子を見て、大変だったよね、と一声。夫が開口一番、先生の配慮で自宅に帰る事が出来て良かったと、感謝を伝える。
私は一刻も早く病状が悪化している事を伝えたくて、3日間ずっと寝ていたことをまず報告。
先生は、抗がん剤はやめて緩和ケア移行で良いね、と確認する。勿論ですとも。この後の手続きとして、このまま一旦は通常病棟に入院し、空きが出次第、緩和ケア病棟に移動するとの説明があった。
地域連携との打ち合わせも提案されるが、夫が遮り、もう座っているのも辛いと訴える。病棟の準備が出来るまで、夫は処置室で寝かせて貰えることになった。
夫が寝ている間に、私と息子だけがまた診察室に呼ばれる。病状の説明を受け、どんなに長くても年越しは無理と宣言される。血栓から出血が起きたり、何か次のイベントがあればもう乗り越えられる体力はない。数日の可能性もあるとの事。先生曰く、夫の表情から「やり切った感」をとても感じた。そういう場合、安心して早く息を引き取る事もあるそうだ。
そして、延命措置を希望するかも確認された。もとより夫は望まないだろうが、癌患者にやっても苦痛なだけとの説明を受けて、即座に断った。
1時間程したら夫は病室に連れて行かれた。合計7回目の入院。家族は14時になったら病棟に荷物を持って来るようにと指示される。
初めてこの病院の病室に足を踏み入れた。こういうところで闘ってきたのか。
この日は我々もあまりにも疲れ果て、看護師さんにお任せして夕方失礼した。病室に入ってから、夫とは一言も会話出来なかった。