「レット・イット・ビー」スパデラスペエディ盤感想
さて、秋晴れの気持ちのいい土曜日ではありますが、ワイは部屋に籠って先日購入したビートルズの「レット・イット・ビー」スパデラスペエディ盤(スーパーデラックススペシャルエディションな)をひたすら聴きまくりですよ。
まずは開封の儀に始まり、ブックレットを舐めるように見て解説・対訳を熟読しながら近所迷惑にならない程度の大音量(!?)での一人リスニングパーリー&レリビー祭りですわっしょい。
2017年の「サージェントペパー」50周年記念盤から始まったビートルズのこの周年プロジェクトもおそらくはこのレリビーで一旦は一区切りということでしょうし、ゴタゴタのままリリースされそのまま解散してしまったビートルズの最後を飾るに相応しい・・・かどうかは知らんが個人的には非常に思い入れの深いアルバムなので聴くのも気合が入るってもんですよ。
そもそもこの「レット・イット・ビー」というアルバム自体が制作からリリースまでいろいろ紆余曲折あり過ぎて未だにファンの間では是か非かという論争が喧々諤々と起こっており、中にはこのアルバムを駄作・クソ盤などとばっさり切り捨てるファンもいるほどで、まあそのへんのことはあちこちでいろんな人が語っているしここでそれを書くとそれこそめちゃくちゃ記事が長くなるので省略しますが、ビートルズ及びレリビーに全く興味のない人たちのためにわかりやすく例えるならば、
スッピンの写真集を作ろうとしたのだがうまくいかず他所の業者に頼んだらば出来上がったのがバッチリ化粧を決めてて且つフォトショで加工しまくりのめっちゃケバい写真集でした
みたいなもんです(^^;
そのバッチリ化粧に相当するのがフィルスペクターによる大仰なアレンジで、ストリングスやコーラスのアフターダビングは賛否両論あり、「アクロス・ザ・ユニヴァース」や「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などに顕著なわけですが、とりわけ後者は作者のポールマッカートニーがその大袈裟なアレンジに激おこぷんぷん丸だったなどと言われており、ですがその後ビートルズが解散してしまい結果的にあの曲のドラマティックなアレンジがビートルズのグランドフィナーレを飾る曲となったというのは皮肉というか何というか、そういうところも含めてビートルズというのはいちいち面白いんですね。
このアルバムのレコーディングセッションは元々はビートルズが久々にライヴを行うにあたってのリハーサルを映像に収めるというところから始まり、当初はアルバムの制作・完成を目的としていなかったわけで、その未完成の散漫なパフォーマンス音源をまともに聴けるようにパッケージングしたというだけでもフィルの仕事は文字通りグッジョブやったとワイは思っています。
とは言えそんなのは後付けの理由であり、単にワイがフィル版のアルバムに馴染んでいるだけのことやけどな。
それでも「ザ・ロング・アンド~」に関して言えばあのフィルのヴァージョンが公式ヴァージョンなわけやしね。
ある意味象徴的な曲ですな。
いつの間にかこのセッションはオーバーダビングなしのスタジオライヴアルバム制作に変わり、また契約上映画も作らなければならないということでアルバムは映画のサウンドトラックとなり、結果としてフィルのアレンジは当初のコンセプトの真逆となったわけですからポールがムカ着火ファイヤーになるのは理解できるにしても、そもそもの音源がまともなのがほとんどなかったわけですし、現にメンバーはグリン・ジョンズがミックスしたアルバムを2回もボツにしてますしね。
今回のこのスパデラスペエディ盤にはグリン・ジョンズがミックスしたアルバム「ゲット・バック」が丸々一枚のディスクとして同梱されており、多くのファンと同様にこのワイも過去にブートのCDを入手してさんざん聴いてきたわけでありますが、さすがに演奏のクオリティやアルバムとしての完成度を考えればボツになるのもやむなしかというレベルで、オーバーダビングなしの無修正ライヴ音源、いくらワイを含む多くの人たちが無修正が好き(意味深)と言ってもこれはさすがにちょっとな、という感じです。
駄菓子菓子、これが公式でリリースされたというのは感慨深いもんです。
ちゃんとジャケも復刻されてます。
オマケ音源のセッション集はやや物足りないかなという感じで、前回の「アビイ・ロード」の時もそうだったんだけど、アナログ盤対応のためか収録時間が短いんですね。
どうせならルーフトップコンサートの音源を丸々収録してくれればよかったのにとかいろいろと思うところはあるけれども、過去にリリースされた「アンソロジー」や「ネイキッド」のオマケで収録された「フライ・オン・ザ・ウォール」と被る音源も多々あり、散漫なセッションだったということを考慮すればやはりまともにキチンと聴ける音源というのは限られていたということかも知れません。
にしてもよ、「スージー・パーカー」とか「ウォッチング・レインボウ」など収録すべきやったんちゃうの?というもののいくつかは入ってなかったのは残念ですな。
いずれにせよもうすでに51年も前のハナシやしね、ジョンもジョージもとっくの昔に亡くなってしまったし、ゴタゴタも激おこもたらればも含めての歴史やとワイは思ってます。
そして酒でも飲みながらそれらたらればを与太話的にあれこれ妄想するってのが酒好きビートルズマニアのあるべき姿かな、などとも思います。
個人的なことを言うならばワイがビートルズを知ったのがちょうど40年前で、前にもどこかで書いたけど当時封切された映画「悪霊島」の主題歌だった「レット・イット・ビー」にめちゃくちゃ感動したわけですよ。
あれから時は経ち、音楽を取り巻く環境は大きく変わってしまったけれども40年前と同じ音楽を聴いてるということにしみじみとしてしまいます。
40年前から好きでした。
40年後も好きでいさせて。
いやさすがに40年後は生きてないやろな(^^;
てなわけで今宵はアンノックを飲みながらこの「レット・イット・ビー」スパデラスペエディ盤を聴き倒してます。
40年前の自分に会うことが出来るならこう言いたいですね。
「オマエ40年後もビートルズ聴きまくっとるでw」
いろいろあったけど、全ては歴史であり、全ては思い出さ(決まったな)。