幼いころニーケーヤー(2階屋)のおじぃーの家に行くのが楽しみだった。

そこには内階段があって、そこを登ったり降りたりするのが好きだった。

それはネコが家の中で食器棚や本棚の上に登りたがるのと同じ、

動物の本能だったのかもしれない。

 

60数年前、

2階建ての家は少なかった。

エーキンチュ(裕福な人)しか造れなかったかもしれない。

当時、おじぃーと呼んでいた人は実は母の一番上の姉の夫、

つまり私の伯父だった。

 

母にはきょうだいが3男5女いた。

伯父は白髪頭だったからそう呼ばれていたかもしれない。

年齢も結構、行っていたし。

 

新築の我が家の内階段を見たときも、

あの当時のように心わくわく、

胸が大いにときめいたものだ。

 

だがこの階段、

やがて私に大けがを負わせた。

いや、

下手したら命をも奪っていたかもしれない。

 

階段を下りるときに足を踏み外して、

階下まで頭から転げ落ちてしまったのだ。

いつのことだったかもう忘れてしまったが、

落ちた記憶だけはいまでも階段を登るたび、

鮮明に思い出す。

 

幸い両手で頭をカバーして落ちたから、

背中や腰、足に黒い大あざができただけで済んだ。

病院にも行かなかった。

 

勾配は結構、きついかもしれない。

 

私の実家は外階段付きの2階建てだが、

その階段が50度ぐらいはあろうかと思うほどの急こう配だ。

踊り場はなく2階まで一直線に伸びている。

 

それに比べれば踊り場もあるし、

さほどきつくはないかもしれない。

 

だけど齢68にもなると、登るのがきつい。

家は平屋がいいかもしれないな。