巣立っていく小雀たちへ | 闘病日記 by moppu

闘病日記 by moppu

何処にでもいる、つまらない男の生きた歴程。
長い間の御厚情に感謝します。

私は毎年同じ詩を卒業していく生徒に贈っています。

昨年も巣立っていく君たちへ、この詩を贈ります。



巣立っていく 小雀たちへ





十年経ったら 振り向いてごらん


朝靄の石畳の道を

白馬に乗った
王子様のお通りだ

胸に飾った金のモールが
昇る朝日に照らされて
キラキラキラリと光ってる

腰につるした銀の剣が
馬の動きに調子を合わせ
カチカチカチリと鳴っている



十年経ったら 振り向いてごらん

泥んこの泥濘の道を

やせ衰えた

お乞食様のお通りだ

破れたシャツが

篠つく雨と泥に濡れ

体にベットリ張り付いている

今日の糧を探して

血走った目だけが

ギラギラギラリと光ってる


十年経ったら振り向いてごらん





十年経ったら そっと振り向いてごらん







卒業おめでとう