私は毎年同じ詩を卒業していく生徒に贈っています。
昨年も巣立っていく君たちへ、この詩を贈ります。
巣立っていく 小雀たちへ
十年経ったら 振り向いてごらん
朝靄の石畳の道を
白馬に乗った
王子様のお通りだ
胸に飾った金のモールが
昇る朝日に照らされて
キラキラキラリと光ってる
腰につるした銀の剣が
馬の動きに調子を合わせ
カチカチカチリと鳴っている
十年経ったら 振り向いてごらん
泥んこの泥濘の道を
やせ衰えた
お乞食様のお通りだ
破れたシャツが
篠つく雨と泥に濡れ
体にベットリ張り付いている
今日の糧を探して
血走った目だけが
ギラギラギラリと光ってる
十年経ったら振り向いてごらん
十年経ったら そっと振り向いてごらん
卒業おめでとう