私が高校３年生の時
全校集会で新しい校長先生が紹介されました。
その校長先生はもともとお坊さんをしている方。
とても穏やかな口調で、表情も柔らかく
先生たちとはちょっと違う感じでした。
その日に、校長先生が１人１人と会って話をすることになったと
聞き、数日後、私の番が来たのです。
校長室に向かい扉をノックして入り元気にあいさつをしました。
私「初めまして！」
校長先生「君はどうしてそんな恰好をしているのかな？」
私「校長先生にお会いするのに、失礼があるといけないと思い
髪型は一番似合うポニーテールで
白いリボンをしてきました」
校長先生「そ、そう…。制服はどうしたの？」
私「これブレザーを短くして、スカートを長くすることで
スタイルが良く見えるので私の正装でもあります！」
校長先生「ありがとう。でもせっかく初めて会うのだから
素顔も見たかったな」
私「いえいえ。そんな滅相もないです。
綺麗なメイクをするのは女性としてのしきたりですから」
私の言葉を聞いて真顔だった校長先生は
思わず吹き出し「面白い子だね」言って大笑いを始めたのです。
もの凄くまじめに返事をしたのに
何がおかしいのかわからず
私はポカンとしてしまいました。
首をかしげて考えていると
校長先生の方から口を開いたのです。
校長先生「身だしなみを気にしてくれてありがとう。
けれど、校則があるから守ってくれると嬉しいな」
私「パンツが白とかポニーテール禁止とか白いリボンはダメとか
そんな校則は今どきナンセンスですよ。
女性はどんな時でもきれいでいるべきだと思います」
校長先生「パンツ…確かに…言っていることはすごくわかる。
だけどね、高校生にしかできな恰好もあるんだよ。
お化粧をせずに、制服を規定通りに着れるのは
今だけ。高校生のうちだけの特権なんだ。
どう？やってみない？」
私「う～ん。でも似合わないかもです。
ポニーテール禁止だし、白いリボン禁止だし
私の個性がしんじゃいます」
校長先生「わかった。だったらポニーテールと白いリボンは
許可しよう。
だからふくさんも、化粧をせず規定通りの制服を
着てくれないかな？」
私「どうしてですか？」
校長先生「校則を守るのは、社会に出てから
入社した会社の規則を守るのに役立つんだな」
私「なるほど。そういう事だったんですね」
校長先生「わかってくれてありがとう。将来はどうしたいの？」
私「多くの人を綺麗にする美容師になって
メイクの仕事をしたいと思っています！」
校長先生「応援してくる。きっとふくさんなら成し遂げるね」
こうして私は初めて校長先生と話をして大満足でした。
廊下を歩きながら途中で
「パンツの話聞くの忘れた」と思ったのですが
見せなきゃいいことなので
まあいいかと思い私はスキップしながらクラスに戻りました。
しかし、これには裏話があったのです。
それを知ったのは、21歳の時。
校長先生が呼んだのは全校生徒ではなく
問題を抱えているピックアップされた５名だけ。
しかも、校長先生と話をしている時に
隣の部屋に続く扉の裏で母がずっと見ていたのです。
まるでホラーですよね。
母は「このバカ娘！」と思い何度出て行こうとしたとのこと。
けれど
校長先生は「ハッキリ自分の意見言えるいい子ですね。
ほかの先生に聞いてた話と違って驚きました。
きっと社会に出たら活躍しますよ」
と母に言ってくれたそうです。
しかも
リーダー研修とかいうのがあってそれにもなぜか選ばれ
（問題児だと思われていたのです）
１泊２日先生と合宿。
その中のレクレーションで
親の仇の様に私を嫌っていた先生と
なぜか仲良くなりました。
その先生と二人場檻をして楽しんだ程。
きっとなのですが
時代が違ったら私は単なるオシャレな子だったのでしょうね。
そして、高校を卒業後、病院に就職した私に
驚くべき電話がきたのです。
それは、クラスで一番優秀な子からでした。
この話はまた次に書きます。
今回も最後までお読み頂きまして
ありがとうございます
