マメオさんがうまれて幸せに満たされていると、

すぐまた陣痛がきた。


先生が子宮から中のものを引っ張りだそうとし、とてつもない激痛が続いた。

「なかなか出てこぉへんなー」と言いながらずっと引っ張っている。

もういいから止めてと叫びたいほどの強烈な痛み。

「ソセゴン使おか!」と先生の指示。

ルートキープしたところから鎮痛剤が投与された。

しばらくすると頭がボゥーっとしてくる。

でも激痛は治まらなかった。


「痛い…イタイ……」

呻いた。

先生がお腹の中を掻きまわすように引っ張り出そうとする度、出口が裂けていく激痛を感じた。

皮膚を引っ張ってビリビリと裂かれているような痛み…


「処置室から持ってきて!早く!」と先生が繰り返し看護師さんに叫ぶ。

「え?!処置室から?使うんですか??」困惑した声。

「いいから早く!持って来てもらって!」先生がすごい剣幕で指示。

慌ただしさに、何が始まるんだろうと不安になる。


しばらくすると看護師さんが何かを持ってきて先生に渡し、

お腹の中を掃除機のようなものが吸いついた。
全身が揺さぶられる。

お腹が激しく波打っているのが見えた。

何度も何度も吸い出される。

なかなか綺麗に出てこないと先生が言うのが聞こえた。


妊娠中期で、これからもっと赤ちゃんに栄養を送ろうと頑張って張り付いている胎盤。。。

鎮痛剤なんて効かない、強烈な痛みが続く。

これはもしかして掻爬術?流産の時に全身麻酔でするやつじゃないの??

もういいよ…

もう頑張ったもん…

なんで麻酔してくれないの?
赤ちゃんを分娩する時よりも痛くて辛いものだった。

出血が止まらないと先生の声が聞こえる…

先生が、子宮の収縮を促すためにお腹を激しくマッサージ。

出血部位がわからないという声

ピコーン ピコーン ピコーン

危険を知らせる音が鳴った。


この音、病院でよく聞いてたな…

私、死ぬのかな…


周囲が慌ただしい

子宮収縮剤を投与するよう指示する先生の声が遠くに聞こえた。


ピコーン ピコーン


何度も鳴った。


子宮頸管に裂傷ができているらしかった。

シューっと焼かれているのを感じた。

後に診療明細書を見て、子宮膣部焼灼法がおこなわれたことを知った。


出血は治まったらしかった。

周囲が落ち着いていく。

その後、裂けた会陰部を縫合。

分娩とはまた違う電流が走るような鋭い激痛

針を刺される度に、勘弁してーと叫びたくなった。


分娩直前のラミナリア抜去、麻酔なしの掻爬手術

この痛みは、陣痛よりもはるかに酷くて辛くて忘れられない。


全てが終わり、医師が金属トレイに息子を乗せて分娩台の傍に来た。

横たわったまま、医師から息子についての説明を聞いた。


男の子だったこと。

子宮内胎児死亡から時間が経っている為、皮膚の壊死が始まっているが外見上は何の問題もなく正常だということ。

浮腫みが多少あるのも、死亡後時間が経っているためと予想されること。

何が原因で死亡したかはわからないこと。


息子は両手を胸の前で握ってお祈りをしているポーズをさせて貰っていた。

目も口も閉じ、裸で両足を開いていた。


やっぱり

男の子だったんやね。

授かったとわかった時からなんとなく男の子のような気がして

全身キューピーちゃんのような姿でバタバタするエコー画像を見てからは、男の子だとしか思えなかった。

こんなにも愛しい存在があるなんて…

嬉しくてたまらなかった。

幸せ過ぎて涙が出そうだった。


分娩台を降りて隣の安静室に戻る。

会陰部が引きつれて痛いため座れず、横になった。

旦那チャンは分娩中、部屋から離れた待合室にいるよう言われていたらしく、安静室に戻ってきた。


分娩した部屋と安静室は扉一枚で仕切られている。

閉めた扉から「胎盤も臍帯も全部いいから捨てて~!」という医師の声が聞こえた。


分娩までの数日間で、胎盤や臍帯の病理検査、胎児の解剖などについての情報を目にしていたので耳を疑った。

「検査してください!!」と言葉はそこまで出かかっているのに、力を使い果たし頭も回らず、何も言えなかった。

言えばよかったと今でも後悔している。


解剖や病理検査については病院側から話があるものだと思い込んでいた。

結局そんな話は一度もなく、何1つ検査されていなかったことを後に知った。