『風と木のように』
出会いは
春の風のよう
ふいに頬をなでてゆく
名も知らぬ花が咲くように
心に
そっと根をおろす
けれど
風は留まらない
木の枝を揺らしたあと
何も言わずに 去ってゆく
残るのは ひとひらの記憶だけ
雨の日には
涙のように
ふたりの影がにじんで
交わした言葉が 土に染みこむ
それでも 花はまた咲くだろうか
ときに 夏の光のように
笑顔はまぶしく
あたたかく
まるで世界が祝福しているように
君がいて
私は生きていると知る
でもやがて 葉は色を変え
秋の風に舞いながら
それぞれの空へと 旅立ってゆく
さよならは
美しさのかたち
人と人は
自然のように
めぐり
離れ
重なりあう
永遠はなくとも
一瞬が
永遠へと続く
とまらない
時のように
