国分佐智子さんのブログ2007-11-27の記事 で紹介された『家族狩り』(新潮社文庫、天童荒太著)を読み終わりました。
読了後、国分佐智子さんも国分佐智子さんのブログ2007-12-09 の記事 で書いておられるように、「長い長い旅が終わりました。。。」と書いておられるよう、凄まじい分量で、かつ中身の濃い作品です。
- 幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉 (新潮文庫)/天童 荒太
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自殺のシーンや青少年の心理や問題行動など、クリエーションかと戸惑うほどです。
この点、もしやと思い第5部『まだ遠い光』の巻末主要参考文献あるいは“あとがきにかえて”を読むと、心理学をはじめとする膨大な資料にあたり、あるいは児童相談所や警察OBなどにまで取材を行うなど、しっかりした基盤を固めて構築された物語のようです。
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ところで、国分佐智子さんは各巻末にある“あとがきにかえて”まで丁寧に読まれたようです。
国分佐智子さんのブログ記事にある「長い長い旅が終わりました。。。」という表現が、第5部『まだ遠い光』の“あとがきにかえて”を受けていることで分かりますo(^-^)o
実はこの各巻末にある“あとがきにかえて”は、文庫本判の「家族狩り」においては普通の小説のあとがき以上の意味を持っています。
というのは、『家族狩り』は発表された際のオリジナル判が発表された後、文庫本化する際に、完全な書き直しが行なわれているのです。そして、その書き直しの方針がこの各巻末にある“あとがきにかえて”に示されているため、この“あとがきにかえて”を併せて読むことで、著者の問題意識がクリアに掴め、膨大な量のこの作品がぐっと読みやすくなるからです。特に第1巻“幻世の祈り”の“あとがきにかえて”は読まれるべきだと思います。
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個人の問題が、世界の問題と無関係でなく、それが相互に結びついて影響しあっている・・・。
ネタバレを避けるために、深くはつっこみませんが、著者の天童荒太さんが提示した問題意識は、私にとっては思いもよらなかったものではありません。ある意味、誰もが少しは“予感”した経験はあるものの、深く突き詰めて考えないまま、なんとなく人生を過ごしている・・・そんな問題意識です。
しかし、天童荒太さんは、そして作中の登場人物達は、われわれを取り巻く現実の桎梏に囚われもがきながら、そんな問題意識に正面からぶつかり、取り組み傷ついていきます。
その問題についての答えは、“改めて回答不能”というのが、この作品あるいは天童荒太さんの姿勢のようです。そのことはある夫婦の行方という形で、最後に示されているといえるでしょう。
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私がこの作品を読みながら、ふと思い出したのが、国分佐智子さんが2年半ほど前ClassyのBooksのコーナーで紹介された田口ランディさんの『鳥はみずからの力だけでは飛べない』でした。
その中で、田口さんは、人生なんて家の中に籠もって深刻に考えを巡らせなければならないほど、そんな大したもんじゃない。嫌なことがあるのは当然だし、その嫌なことをあしらえるようになることが人生なんだ。また、外に出れば、何かしらの楽しいこともある。だから、自分の経験を率直に話して、ともかく外に出るよう背中を押してあげるのが親の仕事だ、といったことをおっしゃっておられた記憶があります。
さらに、多様性や内面への配慮を口実にして、引きこもりの子供に安易に理解を示す親は、実は子供と向き合うのが面倒で避けているんだという旨の、勇気有る発言をしておられます。
実は、この作品の中にも、それに“似た”態度を示す親についても問題意識が提示されていて、田口ランディさんとは別な、ナイーブな観方が示されています。
もっとも、それはあくまで“似た”例に過ぎず、思春期の子供の目線まで降りて、その等身大で悩みを感じながら、自分の経験を噛み砕いて、“人生なんてものは・・・”と語りかけて、子供の背中を押して外に出してやることを田口さんはおしゃっているのだと思います。
結局、自分をさらけ出す勇気と真剣に向き合う時間を作る勇気が、今の親たちにはかけているのではないでしょうか。
ノーベル賞作家のミヒャエル・エンデは、受賞作「モモ」の中で、人生とは大切な人と時間を『無駄』に使うことだと言っています・・・。
- まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)/天童 荒太
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他方、登場人物たちを捕らえる桎梏の存在については、肯定せざるを得ません。
民事、刑事を問わず、裁判官達の非常識と無責任が横行している、日本の狂った司法をはじめとして、「まさか、そんな人たちが、そんなことをするはずがない」という、制度とその実態の乖離があり、一般の人を含め全ての人が無責任で、自分のことについては被害者意識を強くし、いったん加害者として人格を問われる場になるとひたすらほっかむりをしてします。
非行を起こした子供のたいていの親は、それを実のところわが身に降りかかった不幸としか捉えていません。私の個人的経験からも断言できます。
子供が人格を成長させる環境は失われ続けています。『社会的意味における環境破壊』は果てしなく続いていると言わざるを得ません。
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改めて『家族狩り』は、小説としては読みごたえのある作品であり、多くの問題意識を呼び覚ましてくれる作品だと思います。
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☆懐かしの国分佐智子さん!☆
『JJ 1999年12月号』の企画記事“おしゃれ有名人の「1年コート」と「3年コート」”より。
『隣人は密かに笑う』(日テレ系)、CMでは『イソジンうがい薬』にご出演されておられた当時ですo(^-^)o





