バリ島内には「公共交通機関」というものがありません。
鉄道もありませんし、路線バスなども(ごく一部を除き)ありませんので、生活者は自家用車またはバイクで自力で移動します。
ですからバリへ観光に来た一般客の移動手段としては、タクシーを使うか、ネットの配車サービス(Grab, Gojek など)のアプリから車やバイクを呼んで使うようになります。

 



もちろん、観光客の方はバリ島内の観光スポットを周遊するのにはツアー会社の車を手配したり、個人的に車をチャーターして周るのが賢明でしょう。
なぜなら、もしも片道だけタクシーで観光地へ乗り付けた場合、郊外などで次へ移動したい時や帰路に向かいたいときに配車サービスの車やタクシーを必ず呼べるかどうかは不確実だからです。



配車サービスはやはり利用客の多い街や観光ポイントでちょこちょこと利用されるものなので、ドライバーたちはそういう場所にはたくさん待機していますが、出先の郊外ではその保証はないです。

自らレンタカーを運転し移動することも可能ではありますが、実は外国人がインドネシアで運転する場合にはインドネシア独自の自動車免許取得の必要があります。自国ですでに国際免許を取得していても、この免許はインドネシアでは許容されていませんのでこれもなかなか困難です。

そういうわけで結局、インドネシア現地に住んで現地の運転免許証をきちんと取得するほかは、移動手段として配車サービスを利用したり車のチャーターをする必要があります。




バリ島民の庶民の足はおおかたがバイク、スクーターです。一家に1台は必ずスクーターがあるもので、今どきでは高校生以上の子どもや働きに出ている人数分だけ、スクーターを所持しているようです。そして自家用車を持つ家もずいぶん増えてきました。

やはりバリでは頻繁に起伏もあり、昼間は気温が高くてなかなか大変ですから、学生と言えども自転車を使うことは少なくて、高校生くらいからはスクーターで通学するようになります。ですから日常使いの庶民の足は圧倒的にスクーターだと言えます。

そして実は「まだ無免許」というドライバーは実に多いようです!
インドネシアでは17歳から自動車免許、バイクの免許が取れるようになりますが、経済的な事情もあって後回しになるのか、無免許のままの人も多い様子。



そして何度か書きましたように、バリ島での道路は「自由自在」な運転で、バイクがぐいぐいと隙間を縫って走って行く(はっきり言って)無法地帯!
右折左折のシグナルを出さずにいきなり曲がるわ、3人4人で乗るわ、逆走して来るわ、右側追い越し左側追い越し、なんでも有りの道路なんです!
その上道路の破損や陥没なども多いですから、気を抜くことはできません!



そうでありながらも不思議なのが、バリ島では意外と事故を見かけないこと。
日本からの訪問客が車に乗っていてよくおっしゃるのは「バリの道路はスゴイ(怖い)ですね!」
「でも全然事故を見かけないのは何故?!」というセリフ。

私も十数年以上バリの路上を見ていて、本当にそのように思います!朝夕の通勤ラッシュ、観光ポイント近くの渋滞などで道路はなかなか運転が難しいですが、それでも意外にも事故が少ない、見かけない。「これぞバリマジックかしら?!」と思っていたら、バリ人は本当にそのように言います。
「僕たちは朝夕にきちんと神様や精霊に祈っているから平和で安全なんだよ!」
すごい!祈りの力!



確かにバリ人は毎朝「行ってきます」「今日もお守りください」と家寺に手を合わせて祈ってから出勤するのですから、その決意性、アファメーション(自己への誓い、宣言)はよく機能しているのでしょう、素晴らしい、よき習慣だと思います。

それから、バリ島では事故が少ないように思えるもう一つの理由はきっと、「バリ人は小学3年生くらいから村の中でバイクに乗り始めていて、運転にはよく慣れてから公道に出ている」ということ。(笑)
バリの郊外の村に入ってみるとわかることですが、ヘルメットもせずに友達と一緒にバイクに乗って「ちょっとそこまで乗り付ける」という小学生をよく見かけます。

バリでは狭くて渋滞しがちな道路状況ですから、事故があって救急車を呼ぼうにも、なかなか到着しないでしょう。そんな状態だからこそ、周りがかなりの無法な運転である分だけ、自分が十分に気をつけて目配り気配りして運転しないといけない。自分の安全はしっかりと自分で守るという態度が身についているのではないかと思うんです。



先日日本へ一時帰国した際も感じたのですが、日本は信号がたくさんあって交通ルールもしっかりと遵守され、道路状況は整然としています。けれども意外に交通事故は後を絶たず、パトカーを見かけることも多いように思うのですがどうでしょう。ルールに守られていることでどこか気が抜けている部分があるのではないか。

バリの道路では少しも気が抜けない!そんな厳しい状況にあるからこそ、自分で自分を守る自律性が身についているのではないか?

皆さまもバリの道路を走るときは、しっかりと周囲の状況を把握して気を抜かず、安全走行を心掛けてくださいね。
そして車に乗る前のお祈りも忘れずに!
神頼みだけではなく安全のための自己努力を宣言したお祈りで、安全にバリのドライブを楽しんで下さいね!

(By アユミ)