バリ人の家を訪ねると、おばあちゃんがよく、額や足のすねに白い粉を塗ってお庭を歩いているのを見かけます。
「それなに?」と聞くと「頭が痛いからボレを塗ってるの」とか「足が疲れたからボレを塗ってるの」と・・。手作りの薬草ペースト「ボレ(Boreh)、バリ島の民間療法です。



お庭の木から葉を取って、米をすり潰したものとその他の材料を入れ、混ぜて練ってペーストを作り、痛いところや疲労した部位にパック、湿布しておくんですね。

バリ島のボレは、例えばショウガ、ウコン、クローブ、クミリ、コショウなどのほか、漢方薬でも有名なクミスクチン(インドネシア語だと「猫のひげ」という名で、猫のひげのような可愛い花が咲きます)の生葉を使ったり、庭に植えてあるアロエや台所のキュウリなど、さまざまな薬草を調合して作られるようです。




バリのボレは何世紀も前にバリの米農家から始まったのだそうで、田んぼで一日働いた後、家でボレを作り、頭や腹部に塗って血行を促進し、長時間の作業で疲れた筋肉を温めたのだということ。
そして、ボレは悪寒や風邪を追い払い、筋肉や関節の痛みを和らげる効果もあります。

生姜は血行を促進し、筋肉のうっ血を和らげるだけでなく、消化を刺激することで体の解毒を助けると考えられています。さらに、クローブは優れた天然の消毒剤であり、シナモンは体を内側から自然に温め、血行を促進するのに役立ちます。



これらのスパイスや植物には抗酸化作用や鎮痛作用、デトックス作用などがあるので、ペーストにして乾くまでそのまま付けておけば、天然の湿布材になるし、スクラブ効果もあってお肌も滑らかになるのです。そして、そのペーストの芳香でアロマセラピー的な効果もあるのですから、この民間療法、侮れません。



バリ島の売りは身体と心の癒し、スパでのマッサージやデトックストリートメントもそのひとつです。そして、街にたくさんあるローカルのマッサージサロンでも、観光地の有名どころのサロンでも、ボレのスクラブやパックは大人気。


バリ島のサロンは水の音が聞こえたりアロマの香りが漂っていたり、地元のプルメリアのお花やホウセンカの花を浮かべたバスなども楽しめて、リラックスムード全開。しかも日本よりお値段がリーズナブルですから、外せませんね。

バリにいらっしゃったら是非とも、ボレを使ったマッサージを体験してみてください!


そして興味深いのは、バリ人なら結構若い人たちも民間療法の薬草を良く知っていること。自分の健康は自分で守る、バリの素晴らしい伝統について、お喋りしてみて下さいね。
(Byアユミ)