母の容体が少し落ち着いて

ようやく担当医が顔を

出した。




耳は聞こえているから

出来るだけ話しかけて

それだけ言って

すぐに出て行った。




それぞれが母に話しかけたが

母は眠ったままだった。




突然もうすぐ5歳になる

甥っ子

母にすれば1番小さい孫が



みんなで「おかあさん」て

呼んでみよう。



と言い出して



わたし達はみんなで

声を合わせて

「おかあさーん」と

呼んでみた。




すると母は目を覚まして

起き上がり

ゆっくりとひとり

ひとりの顔を見つめて




次の瞬間

みんなに笑顔をふりまいた。




その笑顔は明るく

ちょうど優しい光が当たり




まるで菩薩のようだと思った。





まさに奇跡のような光景だった。